44話 ページ44
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それから適当な店に4人で入店し、曜日を気にせず酒を煽り始める3名を尻目に私はお茶で口を湿らせていた。
正直眠たい私は今にも隣に座る鬱くんに凭れかかりそうになっていたけれど、楽しげに会話に勤しむ3人の声で何とか自立を保っていた。
「にしても大先生、まじでAやってんな｣
「当たり前やん。最初っからそうやぁ？」
「いやそれは嘘やろ。こないだの女はAちゃうかったぞ」
それ、今言う？とコネシマくんのデリカシーの無さに顔を顰めていれば、視線を右往左往させた鬱くんは「せやったっけ？」と明後日の方を向いて口笛を吹いていた。
その『こないだの女』とまだ繋がっているとしたら、私は今すぐ鬱くんを殴り飛ばす準備はできていた。
拳を握ってスタンバイ完了している私に、それを見たショッピくんが少し慌てたように口を開く。
「ちゃいますよAさん、この人Aさんのこと好きや言うてから1回も女と2人で会ってないんすよ」
「ちょおショッピくん？それは言わん約束ちゃうかったか？」
「言うてる場合ちゃうでしょ、今下手したら殴られてましたよ」
チラ、と私を窺った鬱くんに慌てて握った拳を下ろす。
「マジやん……危うくやで…」とそろりと私から目を逸らす鬱くんは、気まずそうにグラスに残ったお酒を一口喉に流した。
結局鬱くんがいつから私を好きでいてくれたのかはわからないけど、ショッピくんの言ったことが本当ならここ数日の鬱くんは一体晩御飯をどうしていたのかと見当違いな心配が頭をよぎる。てっきり他の誰かの家に転がり込んでいるものかと思っていたけれど、そうじゃなかったとしたら。
「俺ともう1人仲良い後輩がおるんすけど、散々付き合いましたよ、Aさんに会えへんいう愚痴」
「えぇ、ご迷惑を…」
「本当は残業やないんちゃうかとか、俺に内緒で男作ってんちゃうかとか」
延々そんな心配してましたよね、と黙っている鬱くんに問いかけるショッピくん。鬱くんはそれを聞こえないふりでスルーしていた。
「それで昨日、とうとう我慢できんくなったらしくて、『Aに会いにいく！』言うて」
「もうええんちゃうか？な？今度飯奢ったるから」
遂に割って入ってきた鬱くんの顔は赤く染まっていた。
それをお酒のせいなのか確かめようと顔を覗き込めば、そろりと目を逸らされた。
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赤月セレン(プロフ) - コメント失礼します。物凄くお話にのめり込んで一気に読んでしまいました…とても良くてもう好きです（笑）tnさんの方の小説も楽しみに読ませて頂きますね。素敵なお話をありがとうございます、更新お疲れ様でした。 (2021年3月6日 22時) (
レス) id: f86cb701a2 (このIDを非表示/違反報告)
宙(プロフ) - ずきゅん (2020年8月28日 1時) (レス) id: a1083db659 (このIDを非表示/違反報告)
おいちこ(プロフ) - 完結おめでとうございます＆ありがとうございますっ！！凄い、素敵でした...2人が幸せに結ばれて、私も幸せですぅ...ニヤニヤ止まんなかったですぅ...新作も読ませていただきますぅぅ...!!!!更新、頑張ってください！！ (2020年4月25日 13時) (レス) id: 5a28085a2a (このIDを非表示/違反報告)
やち(プロフ) - 完結おめでとうございます！生活感のある日常に散りばめられたもどかしさと時々挿まれるドキッとする描写のバランスがたまらず、更新のたびにとても楽しく読ませていただきました。ゆららさんのsyp君がまた素敵で転がるほど好きでした…！次回作も楽しみにしています！ (2020年4月25日 6時) (レス) id: 6f58a85157 (このIDを非表示/違反報告)
椿(プロフ) - かげでこそこそと見させて頂いておりました。なんとも言えない大人のもどかしさがまた純愛のようなものが感じられてとても良い作品でした。完結おめでとうございます。 (2020年4月25日 2時) (レス) id: bbf23e1c65 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆらら
| 作成日時：2020年3月22日 1時
