40話 ページ40
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重たい瞼を持ち上げれば、開きっぱなしだったカーテンから朝の白い光が差し込んでいた。
昨夜はベッドに移動することもままならず、ソファの上で変な体勢で寝たせいかいつもより早くに目が覚めて、私に覆い被さるようにしてピクリとも動かないデカい身体を押し退けるようにして身を起こした。
「………あ、落ちる」
「った……起こし方までアグレッシブやな、お前…」
押し退けた反動でそのままソファから転がり落ちた鬱くんに思わず吹き出す。朝は笑いのツボが浅いのだ。
結局あの後着替えもお風呂も放棄した鬱くんは昨日のまんまで、私の顔を数秒眺めたあと「……風呂入るわ」とまるで普通のことを言って私の横をスっと通り過ぎた。
あ、うん、と条件反射でそう返し、ふと考える。
あれ？私昨日告白とかされなかったっけ？と。
私が気にしすぎているだけか、鬱くんにとって女に好意を告げることなど息をするのと同等レベルのイベントなのか、はたまたやっぱりお酒のせいで忘れているのか。どれもこれも正解な気がして小さくため息をついた。
どれを取っても、私には都合が悪かったから。
数分後、タオルを被った鬱くんが頭をトントン、と抑えながら再びリビングに入室してきてぼんやりしていた顔を上げる。
眉間にシワを寄せつつ隣に座った鬱くんは、なんの迷いもなく私にもたれかかった。
「鬱くん、シャンプー2プッシュしてるでしょ」
「あ〜〜、頭痛いからお説教聞けへん」
頭を抑えていたのも眉間にシワが寄っていたのもそのためか、と納得したものの、シャンプーの寿命はそれとこれとは別件だった。
「もぉぉ！鬱くんは1プッシュで足りるっていつも言ってるじゃん！」
「そない怒らんでも、なくなったらまた一緒に買いに行けばええやんか」
な？と諭されしゅるしゅると勢いが沈む。ずるい、その言い方は。
私の扱いを心得ている鬱くんは、私のご機嫌取りも誰より上手かった。
腹立つ、とまた悶々とする私からするりと離れ、くか、とあくびをしながら立ち上がり洗面所に戻った鬱くんは、その手にドライヤーとクシを持ってまた戻ってくる。
そして当然のように、それらは私に手渡される。
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赤月セレン(プロフ) - コメント失礼します。物凄くお話にのめり込んで一気に読んでしまいました…とても良くてもう好きです（笑）tnさんの方の小説も楽しみに読ませて頂きますね。素敵なお話をありがとうございます、更新お疲れ様でした。 (2021年3月6日 22時) (
レス) id: f86cb701a2 (このIDを非表示/違反報告)
宙(プロフ) - ずきゅん (2020年8月28日 1時) (レス) id: a1083db659 (このIDを非表示/違反報告)
おいちこ(プロフ) - 完結おめでとうございます＆ありがとうございますっ！！凄い、素敵でした...2人が幸せに結ばれて、私も幸せですぅ...ニヤニヤ止まんなかったですぅ...新作も読ませていただきますぅぅ...!!!!更新、頑張ってください！！ (2020年4月25日 13時) (レス) id: 5a28085a2a (このIDを非表示/違反報告)
やち(プロフ) - 完結おめでとうございます！生活感のある日常に散りばめられたもどかしさと時々挿まれるドキッとする描写のバランスがたまらず、更新のたびにとても楽しく読ませていただきました。ゆららさんのsyp君がまた素敵で転がるほど好きでした…！次回作も楽しみにしています！ (2020年4月25日 6時) (レス) id: 6f58a85157 (このIDを非表示/違反報告)
椿(プロフ) - かげでこそこそと見させて頂いておりました。なんとも言えない大人のもどかしさがまた純愛のようなものが感じられてとても良い作品でした。完結おめでとうございます。 (2020年4月25日 2時) (レス) id: bbf23e1c65 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆらら
| 作成日時：2020年3月22日 1時
