38話 ページ38
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そういう跡を付けられたのだということはいくら私でも確認せずとも分かったものの、ふわっと起こしたその顔がまた不服を滲ませていたその理由は分からず。
「そっちも怒ってるじゃんか」
「俺？俺は最初から怒っとんで、今日会った瞬間から」
「え？なんでよ」
寝耳に水な物騒なことを言われ、今日一頭が混乱する。
今ほど付けた跡に指を這わせながら、鬱くんは言う。「Aが俺に隠れてコソコソ悪いことしとるから」と。
身に覚えが無さすぎる、と言いたいところだったものの、1つ2つほど思い当たる節がないことも無くて私は押し黙った。
「ほら、黙るやん」
「や……違うよ、それは」
何がちゃうねん、と思いっきり不機嫌になっている鬱くんは握った私の手を潰すんじゃないかという程に握りしめ、その怒りの深さに私はやっぱりアレはアウトだったのか、と過去の自分を叱咤した。
思い当たる節、とは。
1つ、ショッピくんと連絡先を交換したこと。2つ、コネシマくんも含めてショッピくんとご飯に行ったこと。
2つとも鬱くんの存在を気にしながらやってしまっていた私は、心の中で引っかかっていたそれをしっかり覚えていた。
やっぱり悪い事というのはバレるもので、出来れば知られたくなかった2つ共とうとう鬱くんの耳に入ってしまったらしい。
「俺言うたよな？ショッピくんと仲良うしたあかんって」
「……うん。寧ろちゃんと覚えてたけど、私」
「はぁ？おい、だったら余計罪深いねんけど」
なんで俺との約束無視するん、とムッとした表情で私を見るその顔に私は何も言い返せず、「ごめん」と一言ポロリと謝る。
そうすれば、横になったままの私をゆっくり抱き起こし、そのまま背中に腕を回す。
ギュッと私を抱きしめるその手は先程の握りつぶすような力ではなく、そっと存在を確かめるような優しいそれだった。
「………好きなん？ショッピくんこと」
「ううん、そんなんじゃない」
「じゃ、Aは誰が好きなん？」
「………、誰…」
鬱くん、なのだろうか。
確証を持って明言できなかったのは、ここ最近でこれと言って鬱くんに対して別の感情が湧きはじめたということもなかったから。私の中でずっと変わらないのだ、鬱くんに対する思いは。
でも、だけど。
今まで鬱くんにされた数々の突飛な行動は、確かに『鬱くんだから』受け入れたものだった。
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赤月セレン(プロフ) - コメント失礼します。物凄くお話にのめり込んで一気に読んでしまいました…とても良くてもう好きです（笑）tnさんの方の小説も楽しみに読ませて頂きますね。素敵なお話をありがとうございます、更新お疲れ様でした。 (2021年3月6日 22時) (
レス) id: f86cb701a2 (このIDを非表示/違反報告)
宙(プロフ) - ずきゅん (2020年8月28日 1時) (レス) id: a1083db659 (このIDを非表示/違反報告)
おいちこ(プロフ) - 完結おめでとうございます＆ありがとうございますっ！！凄い、素敵でした...2人が幸せに結ばれて、私も幸せですぅ...ニヤニヤ止まんなかったですぅ...新作も読ませていただきますぅぅ...!!!!更新、頑張ってください！！ (2020年4月25日 13時) (レス) id: 5a28085a2a (このIDを非表示/違反報告)
やち(プロフ) - 完結おめでとうございます！生活感のある日常に散りばめられたもどかしさと時々挿まれるドキッとする描写のバランスがたまらず、更新のたびにとても楽しく読ませていただきました。ゆららさんのsyp君がまた素敵で転がるほど好きでした…！次回作も楽しみにしています！ (2020年4月25日 6時) (レス) id: 6f58a85157 (このIDを非表示/違反報告)
椿(プロフ) - かげでこそこそと見させて頂いておりました。なんとも言えない大人のもどかしさがまた純愛のようなものが感じられてとても良い作品でした。完結おめでとうございます。 (2020年4月25日 2時) (レス) id: bbf23e1c65 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆらら
| 作成日時：2020年3月22日 1時
