33話 ページ33
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そんなことがあってから数日。
深く考える間も与えないままに時間だけが過ぎ去り、相も変わらず私と鬱くんの関係は″何も無い″を維持していた。
とはいえ、最近多々ある様々な行為は見方によっては『何』に分類されるような気もしていたけれど。
学生の頃の恋愛は、イベントと時が全て丸く収めてくれていたのに、大人になってからの代わり映えしない毎日では何かを起こすきっかけすらも訪れないままだった。
そもそもお互いの気持ちすらもはっきりと口にしないままにずるずるとこんな状況になっていて、曖昧なまま放っておいたせいで色々と順番を間違えているな、とモヤモヤとした胸の内は晴れず、隠しきれず。
「お前、寝てないんか？」
「あー…快眠とは言い難い」
隣のデスクからコネシマくんに突っ込まれ、ありのままを答える。
タイミング悪く、今は仕事が時期的に忙しくなり、連日残業続きなおかげでここ最近鬱くんの顔を見ていなかった。「しばらく家来てもごはんないよ」と言えばすんなり納得され、鬱くんはここ数日本当にパタリと姿を表さなくなった。
結局腹が満たされれば誰でもいいのか！と鬱くんに対しふつふつと怒りが沸きあがるものの、怒りより先に顔を見ていない寂しさのほうが勝ってしまっている私にはそれを言う資格もなかった。
「なんで？日付変わる前には帰っとるやろ？」
「まぁそうなんですけど、別件でちょっと｣
毎晩遅くに家に帰り、そんな中自分のためだけに料理をする気も起きず、道中適当に買った美味しくもないお弁当を一人で食べ、そして一人でベッドに入る。
上手く眠れないのは、いつもより布団が冷たいから。隣に誰の気配も感じないから。
すっかり当たり前になってしまった二人で一つのシングルベッドは、鬱くんの香りすらも残っていないだだっ広い空間だった。
そんな場所で、そんな状況で、上手く眠れるはずもなく。
ため息が止まらない私に、見かねたコネシマくんは珍しく心配の色を滲ませながら声をかける。
「今日ははよ帰れば？どうせ明日も残らなあかんねんから、今日は程々にせーよ」
あのコネシマくんが私に優しい言葉を投げかけるほどに周りから見た私はやつれているのか、と逆に不安になったものの、お言葉に甘えて小さく頷いた。
だけど、早く帰ったところで鬱くんがいなくては結局同じなのだけど。
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赤月セレン(プロフ) - コメント失礼します。物凄くお話にのめり込んで一気に読んでしまいました…とても良くてもう好きです（笑）tnさんの方の小説も楽しみに読ませて頂きますね。素敵なお話をありがとうございます、更新お疲れ様でした。 (2021年3月6日 22時) (
レス) id: f86cb701a2 (このIDを非表示/違反報告)
宙(プロフ) - ずきゅん (2020年8月28日 1時) (レス) id: a1083db659 (このIDを非表示/違反報告)
おいちこ(プロフ) - 完結おめでとうございます＆ありがとうございますっ！！凄い、素敵でした...2人が幸せに結ばれて、私も幸せですぅ...ニヤニヤ止まんなかったですぅ...新作も読ませていただきますぅぅ...!!!!更新、頑張ってください！！ (2020年4月25日 13時) (レス) id: 5a28085a2a (このIDを非表示/違反報告)
やち(プロフ) - 完結おめでとうございます！生活感のある日常に散りばめられたもどかしさと時々挿まれるドキッとする描写のバランスがたまらず、更新のたびにとても楽しく読ませていただきました。ゆららさんのsyp君がまた素敵で転がるほど好きでした…！次回作も楽しみにしています！ (2020年4月25日 6時) (レス) id: 6f58a85157 (このIDを非表示/違反報告)
椿(プロフ) - かげでこそこそと見させて頂いておりました。なんとも言えない大人のもどかしさがまた純愛のようなものが感じられてとても良い作品でした。完結おめでとうございます。 (2020年4月25日 2時) (レス) id: bbf23e1c65 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆらら
| 作成日時：2020年3月22日 1時
