13話 ページ13
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鬱くんの言葉の余韻に浸ること数日、今日は金曜日。
あの言葉の意味を言及しようにも私はやっぱりあの時寝ていた事になっているらしく、鬱くんはそれとなくはぐらかして相変わらず私を弄んでいた。
けれど、しっかり言葉通りにそれを受け止めていた私は一層鬱くんに甘くて、連日晩御飯は鬱くんの好きなメニュー続きだった｡
わかり易すぎる私を見て、鬱くんはいつも以上に目じりも垂れ下がり口角もゆるゆるな笑顔を浮かべていて、彼のその顔が見たくてこんな甘やかしをしていた私はやっぱり満更でもない。
「………で？なんでお前は残業しようとしてんの？」
「もう終わるから。今すぐ…いや、あと5分」
鬱くんを喜ばせる要領は得ているものの、仕事の要領は得ない私。
今日は定時上がりの約束だったのに案の定微妙にはみ出した。
あと5分(正確には15分)コネシマくんには待っていただくことにして、一心不乱にキーボードを叩く。
さっさとせぇ、と底冷えするような声色にせっつかされつつ、なんとか形になったのはそれから10分後。
目標以内だ！とはしゃぐ私に5分も過ぎとるやんけ、と言いつつさっさと席を立つコネシマくんの後を追う。そうだった、5分で終わると見栄を張ったんだった。
歩きながら携帯を見ていたコネシマくんは不意にぱっと仏頂面を綻ばせ、「鬱が残業で30分遅刻や言うとんで」と私に向けてニヤニヤと笑みを浮かべた。
「じゃ、こんなに急ぐことなかったじゃん｣
「ちゃうやろ、お前ら似たもの同士やなって｣
「やめて！気付かないふりしてたの！」
さぞウマが合うんやろなぁ？と笑われながらそれに聞こえないふりをする。
ええそりゃ合いますとも。性格に飽き足らず食の好みまで似たり寄ったりですとも。
そうじゃなければ鬱くんは足繁くうちに通ったりしていないだろうし、『居心地最高』なんて言葉も出てこないだろう。最高の空間を演出してやってる私に最大の感謝をしてほしい。
「あ、せや。お前今日知らん男の隣とか座らんほうがええぞ」
「なんで？クズ男に変えちゃうから？」
「はは！あーそれもあるな、」
吹き出したコネシマくんは「ちゃうちゃう、」と手を振って、またニヤリと笑みを浮かべる。
「鬱が喚いてたからなぁ、昨日」
お前のガードが緩いこと心配したで、と。
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赤月セレン(プロフ) - コメント失礼します。物凄くお話にのめり込んで一気に読んでしまいました…とても良くてもう好きです（笑）tnさんの方の小説も楽しみに読ませて頂きますね。素敵なお話をありがとうございます、更新お疲れ様でした。 (2021年3月6日 22時) (
レス) id: f86cb701a2 (このIDを非表示/違反報告)
宙(プロフ) - ずきゅん (2020年8月28日 1時) (レス) id: a1083db659 (このIDを非表示/違反報告)
おいちこ(プロフ) - 完結おめでとうございます＆ありがとうございますっ！！凄い、素敵でした...2人が幸せに結ばれて、私も幸せですぅ...ニヤニヤ止まんなかったですぅ...新作も読ませていただきますぅぅ...!!!!更新、頑張ってください！！ (2020年4月25日 13時) (レス) id: 5a28085a2a (このIDを非表示/違反報告)
やち(プロフ) - 完結おめでとうございます！生活感のある日常に散りばめられたもどかしさと時々挿まれるドキッとする描写のバランスがたまらず、更新のたびにとても楽しく読ませていただきました。ゆららさんのsyp君がまた素敵で転がるほど好きでした…！次回作も楽しみにしています！ (2020年4月25日 6時) (レス) id: 6f58a85157 (このIDを非表示/違反報告)
椿(プロフ) - かげでこそこそと見させて頂いておりました。なんとも言えない大人のもどかしさがまた純愛のようなものが感じられてとても良い作品でした。完結おめでとうございます。 (2020年4月25日 2時) (レス) id: bbf23e1c65 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆらら
| 作成日時：2020年3月22日 1時
