30話 ページ31
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その温度は冷えた私の頬をじんわりと溶かし、同時に涙腺までも刺激して、我慢していた涙で視界がぼやけた。
「、何泣いてんねん」
「泣い、てない」
「はぁ？泣いとるやん、俺泣かせたつもりないねんけど」
どうしたん？と優しく尋ねられ、その指先は私の目尻から涙をすくい上げる。
その優しい2つに、またぼろぼろと涙が零れた。
優しくされて嬉しい、優しくしないでほしい、という矛盾した気持ちが頭を渦巻きおかしくなりそうだった。
「昨日は、なんで泣いとってん」
私の髪を梳きながらふと尋ねられ、視線を泳がせる。今日の朝腫れた目を指摘したゾムくんは、その事をまだ覚えていたらしい。
「……昨日、は」
一人きりで無性に心細くなり、泣いていたところに鬱先輩が来てくれた。
それで、私を抱き締めてくれた。
「なんか……寂しくて」
「は？それやったら、俺」
「ち、違、そういう意味じゃなくて」
『いつでも抱いたるよ』なんて言葉が見え隠れするのを慌てて先手否定し、またしても「えーと、…」なんて言い淀む。
「お前さ、俺に隠し事多すぎひん？そんな秘密主義ちゃうかったやん」
「い、いいじゃん全部言えなくても！ゾムくんだって私に言えないこともあるでしょ、」
苦し紛れの開き直りに「……あー」と今度はゾムくんのほうが目を泳がせた。予想外だったその反応は私にとって好都合で、ほらね、なんてここぞとばかりに勝ち誇った顔をしたのだった。
「でも俺は、他に好きなやつ出来たとかちゃうで、お前と違って」
「待って、私だって出来てないんだけど！｣
「ふは、どうやろな？でも中々出来ひんねんなー、他に」
念を押すように『他に』を強調され、一瞬私の気持ちがバレているのかと思ったけれど、まさかね、と焦った心を見抜かれないよう平然を保った。
そんな私を他所に、ゾムくんは片手でするりとネクタイを外した。
ここに来たからにはそりゃそうか、といつものルーティンをすっかり忘れていた私は、「今日はAに散々されたから優しくせえへんで」なんて言葉にまんまと心臓が高鳴るのだけど。
いつも淡白で優しくなんてしてないじゃん、と反論する気にもならなかった。
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ぴざる2号(プロフ) - 泣いた…やばい…うわぁぁ…好き…（語彙力皆無） (2021年3月31日 14時) (
レス) id: fa56edbecd (このIDを非表示/違反報告)
ことこ(ドS娘)(プロフ) - あーーーーーーーーーーdi先生ーーーーーーー(震え)って現在なってます。うううううう推しはzmさんなのにううううううこんなに私を惑わすなんて……罪ですねっ！！(オールで小説を読んでた馬鹿野郎より) (2020年8月15日 8時) (レス) id: 0a70119f62 (このIDを非表示/違反報告)
林檎(プロフ) - えぇ、、、無理、、、好きです。もう最高でした！神作品ですね！というかtn落ち多いしzm落ちのこの作品もむっちゃよくてtnzmが最推しな我歓喜 (2020年5月26日 2時) (レス) id: d1841ceef2 (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - あと1週間はこのお話のエモさを思い出しては悶えると思います。本当に素敵な作品をありがとうございました。次回作も応援しています！長々とｺﾒﾝﾄ失礼しました。 (2020年3月6日 9時) (レス) id: e6da1803b4 (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - 変わっていく気持ちが、さらにutさんと2人は違うということを強調されていて、報われないutさんに心が苦しいです。でも2人がﾊｯﾋﾟｰｴﾝﾄﾞを迎えられて本当によかったです。zmさんはこのお話の主人公でしたが、utさんこそ間違いなくヒーローだったと思います。 (2020年3月6日 9時) (レス) id: e6da1803b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆらら
| 作成日時：2020年2月11日 22時
