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25話 ページ26

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紙の束を抱えてそれをどさりと先輩のデスクに置く。本当にこれ全部のコピーが必要だったのかは私は知らないが、頼まれただけなのでそのまま机に放置した。

先輩たちのデスクはもう明かりが消えていて、先程聞こえた声は帰る途中のものだったんだな、と1人納得。
私も帰ろう、と久しぶりの早い上がりに心を躍らせつつ、ゾムくんになにか連絡入れておかないとなと思い出す。



と、自分のデスクに戻り、胸騒ぎ。

確かに机の上に置いていた私の携帯が、忽然と姿を消していた。

一気にサッと血の気が引いたものの、もしかしたらカバンに入れっぱなしにしてたかな、と一縷の望みをかけてカバンを引っ掻き回すも、当然目当ての物は出てこない。


これは…やられた?
近頃ヒートアップしている嫌がらせを思えば、その可能性は高かった。だけど、携帯なんて小さな物、この広いオフィスじゃ探しようも無かった。ゾムくんがいない今、鳴らして探すこともできない。

「………はぁ、最悪……」

思わず独り言を漏らし、いつもの癖で唇を噛む。

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書類の隙間、ロッカーの中、ファイルの中、見つけにくそうな場所は全て見た。けど、やっぱり見つからない。

もしかしたらこの部屋には無いのかも?と思い始めたとき、ふと先程の光景が蘇る。


そう言えば、さっき先輩の声とすれ違ったあの場所は、エントランスへ続く階段がある方向ではなかった。


とすれば、やっぱり先輩たちは机の上の私の携帯をどこか別の部屋へ持ち出したということ。
あそこにある部屋ってなんだったっけ?と記憶を呼び起こしていれば、ひとつ過った先輩ならやりかねない隠し場所。


焦る私。時計を確認すれば、ゾムくんを見送ってからもう1時間が経とうとしていた。
ゾムくん心配してるかな、と、申し訳なさと心細さに、急ぎ足に思い当たった場所へ向かった。

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ぴざる2号(プロフ) - 泣いた…やばい…うわぁぁ…好き…(語彙力皆無) (2021年3月31日 14時) (レス) id: fa56edbecd (このIDを非表示/違反報告)
ことこ(ドS娘)(プロフ) - あーーーーーーーーーーdi先生ーーーーーーー(震え)って現在なってます。うううううう推しはzmさんなのにううううううこんなに私を惑わすなんて……罪ですねっ!!(オールで小説を読んでた馬鹿野郎より) (2020年8月15日 8時) (レス) id: 0a70119f62 (このIDを非表示/違反報告)
林檎(プロフ) - えぇ、、、無理、、、好きです。もう最高でした!神作品ですね!というかtn落ち多いしzm落ちのこの作品もむっちゃよくてtnzmが最推しな我歓喜 (2020年5月26日 2時) (レス) id: d1841ceef2 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - あと1週間はこのお話のエモさを思い出しては悶えると思います。本当に素敵な作品をありがとうございました。次回作も応援しています!長々とコメント失礼しました。 (2020年3月6日 9時) (レス) id: e6da1803b4 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 変わっていく気持ちが、さらにutさんと2人は違うということを強調されていて、報われないutさんに心が苦しいです。でも2人がハッピーエンドを迎えられて本当によかったです。zmさんはこのお話の主人公でしたが、utさんこそ間違いなくヒーローだったと思います。 (2020年3月6日 9時) (レス) id: e6da1803b4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆらら | 作成日時:2020年2月11日 22時

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