poupée de verre〜人形劇場〜【あんスタ】

【注意】「獅子狩り/第二話」 ページ20

以下いじめ、傷口の描写があります。人によっては不快に感じる方もいらっしゃるかもしれません。ご注意下さい。
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「録画してネットにアップしようぜ」

「さすが＊＊＊＊の＊＊。」

「結局偽物かよ。」

指先が冷えて視界の端が暗くなる。全身の神経が浮き上がるその感覚を僕は知っている。周りの音が遠のいて、僕に対する言葉だけを嫌なほど鮮明に掴む。


…………………。


こ＊＊＊＊＊＊＊



あたまの中に響く



あ＊＊＊＊＊＊だ＊






とうの昔に蓋をした記憶が数多の腕によって容赦なく引きずり出される。


ずるずると、…ずるずると。





＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊





不気味な笑い声が脳で反響する。



響く





響く


色んな声が、人が、顔が、頭の中を。頭の中を掻き回す、支配する。

ぐちゃぐちゃに掻き回された脳味噌の奥に隠していた傷が露わになる。あの日、幼稚で、純粋で、無悪な犯罪によって残された傷口は、暫く見ない間ににぐちゅぐちゅと変色した悍ましい膿を持っていた。

気づかなかったわけじゃない、ひたすら気づかないふりをしていた。

椅子の上で微睡んだあの日だってそうだ

その鱗片が顔を覗かせる度、僕はそれから目を背けていた。

彼らとの日々で鈍い痛みを誤魔化していた。治療も手当もしてこなかった傷口は、今や手の施しようがないほど腐りきって爛れていた。



五月蝿い…五月さい…う？さいうるさい。＊＊＊＊ぼくがやらないと、おれ…ぼくやらないと。＊＊＊＊＊＊違う、やらないと歌わない‘、だってだってだってうるさいから歌わないと違うおれがやらないと＊＊違う違う違う違う！！！！歌う、声、声を、？が！！＃るさい、大丈夫？？が歌わなき、だっ＠うる＆い、ぼ)は大丈夫だい；ょ


僕はパニックに陥る自分自身を一歩下がったところから静観していた。


一人苦しむ彼になにもしてあげることができなかった。


混沌とした精神世界のなか、著しく処理速度が低下した脳と、混濁した記憶と、言葉。


その間を縫って、一筋の光が差し込む。


「……………っ。」



ああ、僕は……。助けてもらってばかりだな。



狂しく 崩折れて

留まって 永久になれ…



その声がヘドロのように纏わりついていた雑音を拭い去っていく。


再度静寂が訪れたとき、僕は静かに息を吸い込み、その声に重ねるよう言葉を乗せた。



「傷を重ね」



『十字架の誓い』

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