ミニうしさせ、拾いました。【浦島坂田船】

36.憂鬱 ページ36

「……はぁ……鬱だ………………」


今日は朝からずっと気分が沈んでる。


となりでワン・ツースイッチで遊ぶしまとさかをよそ目に、

私はずっとテーブルにうつ伏せていた。


「あああまけたああ」

「さかたよわいなぁ」


2人とも楽しそう。いいなぁ…


なーんてことを考えていると。


「A！」


唐突にせんのこえが。

何事かと思ってかおをあげると、

うらと上半身裸のせんがいた。


「どしたの？」


そう聞くと、うらは背後に隠し持っていたらしい名前ペンをとりだした。


そして。


「あああこしょばっっっっあああああ」


「え、え？」


うらは名前ペンのキャップを外し、

せんの胸あたりにぐるぐると模様を描いた。


そして。


「むなげぼんばーーーーー！！！！」


………………しばらく沈黙がつづいて。


私は、真顔のうらと笑顔のせんを見比べて、

吹き出した。


「あはっ、なにそれ！」

「胸毛ボンバー」


面白すぎて、私は5分ぐらいつぼっていた。


「元気になった？」


笑いが収まると、うらが私の耳元で呟いた。


「……あ」


そういえば、さっきまでの憂鬱は胸毛ボンバーで吹き飛んだ。


2人とも、私を元気にしようと思って……？


「……2人とも、ありがと」


私は照れくさくなって、うらが持っていた名前ペンに視線を逸らす。


『油性』


……あ。


「せん、それ早く落とさないと一生そのままだよ」

「えっ？！？！？！いやや！！！！！！！！！！！」


せんはうらのシャツの裾を引っ張ってお風呂場へと駆け込んだ。


ちゃんと落とせるといいね…………

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