story28 ページ31
貴「征…十郎ぉぉぉ驚かさないでよぉぉぉぉ」
緊張が解けたのと、安心感からへたりと座り込む。
赤「一人暮らしの分際で鍵も掛けないのが悪い馬鹿め」
貴「口悪いな!」
まぁ、そんなことより、と征十郎。
赤「黒子から聞いた。色々と、な。
…お前は、どうするつもりなんだ?」
貴「どうする…って…テツヤのこと?…それはまだ…」
テツヤの気持ちはもの凄く嬉しかったけれど、やっぱり私が好きなのは黄瀬くんで。
気持ちは変わっていないけれど、今の私には誰かをフる、なんて気持ちの擦り減ることは出来ない。
…それがどんなに残酷なことかわかっていても。
赤「あぁ…それもあるが…俺が言いたいのは黄瀬との事だ」
貴「き…せくん?黄瀬くんとは…もう終わっちゃったもん」
「だから、俺が言いたいのは」、と座り込んでる私の目線に合わせるようにしゃがみ、頭をぽんぽん、と撫でる。
赤「Aは、黄瀬になにも言わなくて良いのか?」
何って?、と返すと彼はにこりと微笑んで、
赤「なんでもいいんだ。今までの理不尽に対する不満でも愚痴でも、もしくは愛の告白でも。」
赤「捨てられたくない、なんて理由で抑え込んでたもの全部本人にぶちまけてこい」
貴「そんなこと…」
何年も、耐えて来た。
耐えることに、慣れてしまった。
そんなこと、想像するだけで、体が震える。
赤「大丈夫だ」
ふわり、と征十郎に抱きしめられる。
赤「大丈夫。お前の後ろには俺たちがいる。
どんなになっても、俺とテツヤだけはお前の味方だ。」
まるで赤子を諭すような柔らかい口調で、もう一度大丈夫、と言われて、体の震えが止まってる事に気がつく。
貴「ふふっ、頼もしいね」
そうか、もう捨てられる心配なんてしなくてもいいんだ。
なんだかほっとして肩の力が抜けると、ぐう、とお腹が鳴る。
そういえば昨日のお昼から何も食べてないな、と思い出す。
貴「あはっ、お腹空いちゃった。何か作るけど、征十郎も食べてく?」
赤「あぁ…どうせなら青峰達も呼ぶか?」
貴「ほんと!?皆空いてるかなぁ!?」
聞いてみるよ、と携帯を取り出して外に出て行く征十郎。
・
・
・
・
ドアの横に寄り掛かっている黒子に話しかける。
赤「聞いてたか?」
黒「…はい。」
赤「…お前は、どうする?」
黒「僕は、彼女が笑ってればそれでいい」
赤「あぁ…俺もだ」
291人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まこ(プロフ) - 面白かったぁー!黄瀬くん大好き! (2015年4月13日 23時) (レス) id: e16da1368c (このIDを非表示/違反報告)
氷室辰也ファンクラブ会長 - 続きが楽しみです〜 (2015年4月5日 9時) (携帯から) (レス) id: a1dccddbfa (このIDを非表示/違反報告)
こっちゃん(プロフ) - 切ない…(涙)最後、みんな幸せになってほしいです。 (2015年4月2日 20時) (携帯から) (レス) id: 5893ca365b (このIDを非表示/違反報告)
マカロン - すっごく切ないです。涙がボロボロ出てきます。 (2015年3月31日 4時) (レス) id: a2162d4b3c (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - 切なすぎて泣けます(´;ω;`) (2015年3月30日 1時) (レス) id: 87383982e1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:遙 | 作者ホームページ:http://commu.nosv.org/p/haruna0325
作成日時:2014年11月8日 20時