＊最 低 彼 氏＊【黄瀬涼太】

story9 ページ11

数日後。


殆ど風邪も治り、練習に出始める。


キャプテンにはまだ休んでいていいと言われたが、あと数日後に試合があるのだ。




視察にもデータのまとめも出来てはいないし、これ以上部員に迷惑をかけるわけにはいかない。





「Aちゃん風邪大丈夫だった？」

貴「大丈夫です！数日迷惑かけてごめんなさい！」

「んーんそれは全然。怪我人も出なかったし




……それよりAちゃん？

それ、マスク何枚重ね？」

貴「四枚ですね。万が一でもうつらないように」

「馬鹿か！息出来ないでしょうが！！」




あはははは！と笑うもう一人の先輩マネさん。

姉御肌の彼女は人気者で、誰からも好かれる。





「おーい、パス出し頼む」、とキャプテンの声。

「あっでも今まだドリンク…」

貴「もう少しですし大丈夫ですよ」


2人は付き合っていて、誰からも羨まれるほど素敵なカップル。









・








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貴「…いいなぁ…」



ごめんね、と手を合わせて小走りで彼の元に行く彼女を見送って、思わず漏れた独り言。






もし私が何分のいくつかでも彼女のような素敵な女性だったら、黄瀬くんとも上手く行くのかな



なんて考えてる自分を自虐気味に笑う。






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・






さぁ、残りを片付けてしまおう。

始まるまでまだ時間はある。




それまでに、ドリンクを作って、

データ分析をして、

ビブスの洗濯をして、

あぁそうだ、確かボールの空気が抜けてたな。







急げ、急げ。


無いものねだりしてる暇なんてないんだから。

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