みにまむ ２４ ページ25
「そういえば、明日何する？日曜日だし、学校ないから暇なんだよね」
帰宅して、自室のベッドに腰をおろして膝に乗っていた上鳴君に問う。
「特にやることもないもんなぁ…あー、買い物！とか」
「それいいね、じゃあショッピングモール行こう！」
こうして明日の予定が決まった。
それにしてもはしゃぎすぎて…本当に眠ってしまいそうだ。
「もう、今日は寝ちゃおうか…」
「おお……腹減ったら勝手に冷蔵庫漁る……あ、できねーわ」
上鳴君の声が遠くに聞こえてきて、真っ黒な世界に惹き込まれていった。
〜・・・・・・〜
「ん……んん…」
私は小さく目を開ける。
周りを見るけれど、どうやらここは自分の家じゃないようだ。弟の家でもないはず。
ほんと、どこなのここ。
長い長い階段が永遠と続いている空間。
床や壁はもうすっかり抜け落ちたかのように真っ黒。というよりかは、そんなものは無いようだ。
ただただ、階段が入り組んでいるだけ。それだけの空間。
「ああ、もう…早くどうにかしてよ、誰かさん」
私がぼそりと呟くのと同時に、目の前に可愛らしい顔のウサギが現れた。
あ、いや可愛いのは顔だけだったわ←
身体は普通に人間で、燕尾服らしきものを着ていた。
「こわ…こわっ！！ちょ変態ですかウサギさん！今すぐ私の視界から消えて！」
「あなた酷いですね…！！？普通ウサギを見たら可愛いというでしょう？」
「うん、今目の前にいるのはウサギでは無い何かだもん」
「…っま、まぁいいでしょう……もう時間も無いんです。強行手段で行かせてもらいます」
ウサギの周りが、もっと深い深い黒で染められ、それは私の身体を覆い始めた。
「なに……これ…」
〜・・・・・・〜
「ぅ……ぅうう」
私は物凄い吐き気と頭痛で目を覚ました。
「Aっ！！よかった、目を覚ましたんだな！！」
上鳴君は私の枕元で体操座りをしていた。
何やら額が冷たいなぁ、と思って手を伸ばすと、水で冷やされたタオルが乗せられていた。
「俺が起きたらAの身体がすっげー熱かったから、一応の応急処置だけはしといた」
「どうやってタオル取ったの？今の身長じゃあ絶対届かないと思うんだけど」
「多分Aの個性が切れてきたからだと思うけど、少しずつ戻ってんだよ！」
思えば、出会った日は親指サイズだった彼はもう手のひらくらいに大きくなっている。
そうか、もう三日も経ったんだ。
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作者名：真裏 | 作成日時：2017年10月9日 8時
