（１４）太陽に照らされて ページ16
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慌てて両手で目を隠し、その涙をゴシゴシと拭き取る
『え、えと、これはその…違くて！
目にゴミが入っただけだから、だから───』
「……先輩、頑張ったんだね」
その言葉の後に、肩に何かを掛けられる感覚があった
涙が溢れてくる目を開けて、視界が揺らぐ中で見えたのは、虎杖が着ていたパーカーをAに被せていた
そして虎杖はそのフードを、目が隠れるくらいの深さにまでAに被らせる
「よしっ、これで誰からも見えない。
だから_______泣いていいよ」
ポンポン、と頭に乗せられた暖かな手
堪えようとしていた涙が、途端に溢れ出す
ズルズルとしゃがみ込むAと、一緒にその前にしゃがんで頭を撫で続ける虎杖
泣いている理由を聞いてもいないのに、ただただその場にいた。なにがあったのかは聞かずともそれとなく悟った
それがどれだけAにとって心強かったかは、言うまでもない
それから数分して、泣き止んだAがポツリとこう呟いた
『…私、かっこ悪いなぁ』
それは無意識に出た言葉だった
先程息を引き取った術士は、もう助からない状態で運ばれてきていた
それでも術式を駆使して、命だけでも繋ぎ止めようと死力を尽くした
けれど、それが叶うことがなかった
懸命に助けようとしたけれど助けられなかった自分が、
あの怪我は仕方なかったと頭で理解しているのにそれを受け入れられない自分が、
そして後輩の前でこうして惨めに泣いている自分が、
かっこ悪────
「かっこ悪くなんかないよ」
聞こえた声に反射的に顔を上げれば、虎杖のまっすぐAを見つめる視線とぶつかった
「先輩っていつも頑張ってるの、みんな分かってる。その証拠に目の下に隈あるし。
そんなに頑張ってる人がかっこ悪いわけないじゃん
あと俺は先輩のことすげぇ尊敬してる。
…いや、"俺は"じゃなくて"俺も"、だよ。
俺だけじゃなくて、みんな先輩のことかっこよくて尊敬してるから
だから、先輩はかっこいいよ」
ニコッと笑って「涙止まったね」と言い、手を指しだす
Aはその差し出された手を見つめ、そして手を取って立ち上がった
『…ありがとう、悠仁』
「いーえ！」
ありがとう、と言ったときの表情はもういつも通りの笑顔に戻っていた
そして、廊下の角でその2人の様子を見ていた人がいたことは誰も気づいていなかった
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ほやっく(プロフ) - souさん» コメント嬉しいです〜！！読んでくださりありがとうございました！！！ (2022年1月23日 10時) (
レス) id: f8046942e5 (このIDを非表示/違反報告)
sou(プロフ) - 完結おめでとうございます！お疲れ様です！私も恵くん大好きなのでオチが恵くんでとっても嬉しかったです！！ (2022年1月22日 21時) (レス) @page40 id: 26a665cc7a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ほやっく | 作成日時：2021年3月3日 19時
