【カゲプロ】「メカクシ団におさらばするのはまた何処かで会いましょう系少女だった」 (ページ38)

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もしかしてページ38

－同時刻－

「やばいッ!!もう時間過ぎてるしッ!!!!」

右手にしている腕時計を確認すると、太い針が『１』を刻んでいるのが見えた。

予定通り進んでいたら12時半には終わり、帰れるはずなのだが。

「すみません、Aですッ!!失礼しますッ!!!!」

かれこれ何十回も見る、『院長室』と書かれたドアを乱暴にノックし、相手の返事も待たずに開ける。

中にいたのは、「何事だ」と言わんばかりの顔をする院長と副院長。

まあ、言い方を変えれば父さんと母さん。数少ない家族である。

「時間ッ!!時間だから帰る、ますっッ!!!!」

「今日が皆に会う日だったか」

「そう。気をつけてね」

二人の言葉を確実に聞いたら、これまた乱暴にドアを開け、走って出ていく。

息切れしようが構わない。早く、早く会いたいから。

あ、そうそう、中山さん。彼女は数ヶ月前に寿退職した。

「運命の人を見つけた!!」と、とても幸せそうな顔をしていた。

と、思考が器用に回るなか、病院の敷地から飛び出し、路地裏に入る角を曲がる。

いや、正確には曲がろうとした瞬間、何かにぶつかった。

「うわっ!!」

「おっとっ!!」

理解できる言葉が聞こえた以上、ぶつかったものが人間だと、即座に判断する。

声からして、男性だろうか。

まったく、なんだってこんな急いでるときに、と頭の中でイライラが積もる。

が、そんなことを相手に言っては、相手が可愛そうになってくるので、口を紡いだ。

「すみません、大丈夫ですか...あ」←

「いえ、こちらこそ、前を見てなかったので...あ」←

真夏という暑い日なのに、黒いパーカーを着て、これまたフードを被っている。

忘れもしない、特徴的な瞳。特徴的な笑顔。

「もしかして、カノ??」

「てことは、マチッ!?」

路地裏に、二人の元気な声が響いた。

まさか、こんなところで会うことが出来るとは。

「久しぶりだねー!!髪、結構伸びたね」

「でしょ??我慢したからね」

カノの言う通り、数年前はショートカットだった髪も、今では腰につきそうな程伸びた。

「それより、カノはどうしてここに??」

「いやー、アイス買いにね」

「そっか、どうせキドに脅されたんでしょ。"私"も着いてってあげるよ」

「......『私』にしたんだね」

「うん。過去と向きあいながら生きてくためにね」

ウインクをしながら言うと、カノは優しそうな笑みを浮かべた。

「とりあえず、コンビニでアイス買おうか」

二人でコンビ二へと足を進めた。