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「……もう、やだ。」
小さくそう呟く時、決まって同じクラスの男の子が私に向かって声をかけてくる。
____水色の少年、黒子テツヤだ。
「…大丈夫ですか?」
「あなた、なんでそう私に声かけるの?
あなたもイジメられるよ?」
そう質問を返すと、
彼は決まって同じ言葉を私に向けるのだ。
「平気ですよ。誰も僕には気付きませんから」
「…変なの。」
こんな小さな会話とも言えないようなものでも、当時の私にはとてつもない価値のある時間だった。
登校時には上靴を捨てられ、
休み時間には筆箱やリコーダーを隠され、
お昼には給食を自分だけよそってくれない、
なんてのはよくされたものだ。
正直、そんな生活に慣れてしまう節もあったのだが___まぁそんなことはどうでも良かった。
人間ではない私でも、受け入れてくれる人間がいたのだから。
彼らは私を『**』だと言ってくれて、私も彼らを『**』だと認めた。
___その彼らが、黒子と荻原。
荻原とは黒子を介して友人になったのだが、私が人間ではないこと知ると、態度が一変したのだ。
「…Aってきゅーけつきってやつなの?」
「え、うん、まぁ」
「……それ、って…」
「やっぱり、気持ちわ…」
「……すっげぇじゃん!!マジで!!
うわぁ、俺の友達きゅーけつきとか自慢じゃん!じゃーさじゃーさ、運動神経俺らより良かったりすんの?」
「……へ…?」
「Aってバスケ出来んのかなってさ」
「た、たぶん出来るんじゃない、かな?」
「よし!じゃー黒子!!やるぞー!!」
___この後はまぁ、御察しの通り。
急にテンションの上がる荻原に、私が散々振り回されていた。
「…荻原くんって、面白いよね。」
「そう、かも知れませんね」
「そんでもって黒子くんは変な人」
「ど、どういう意味ですか」
私は「教えてあげない。」と言い続け黒子も必要以上に聞こうとはしなかった。
ただ、その後は必ず膨れっ面するか、腑に落ちないというような顔を私に向けるのだ。
「____でも、なんとなくわかるよ。
黒子くんが、私と同じだって言うワケ」
荻原と黒子が、1on1をしている。
いつもと同じ影が薄い黒子を見ながら、小さく呟いていた。
「私と貴方は、同じ『カゲ』なんだ」
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黒ウサギ - ハーイ(*´▽`*)楽しみにしていますねっ☆ (2014年11月1日 22時) (レス) id: 630c907ecf (このIDを非表示/違反報告)
みなみな(プロフ) - 黒ウサギさん» ありがとうございます(´∀`*)是非是非、これからもよろしくお願いします(`・ω・´)キリッ (2014年11月1日 1時) (レス) id: 0af48c629f (このIDを非表示/違反報告)
黒ウサギ - お話いつも読ませて貰ってます(^○^)続きが気になって仕方がありません;^)更新楽しみにしています(≧∇≦*) (2014年11月1日 0時) (レス) id: 630c907ecf (このIDを非表示/違反報告)
みなみな(プロフ) - 心縷々さん» えーと…私は心縷々さんの作品を読んだことが無いのでアドバイスというより、自分が気をつけていることを言いますけど…一先ず、私は裏設定を大量に作っていたりしますね。物語の中では語られることの無い物語…そういうものが人を惹きつける魅力だと思うのです (2014年9月2日 17時) (レス) id: 0af48c629f (このIDを非表示/違反報告)
心縷々(プロフ) - あの、お願いがあります。私はホラーを書いているのですが、この小説は私の書けないなんか難しい展開が上手いと思いまして…。厚かましいのですが、アドバイスとかもらえませんか?お願いします!作者名はこのままなので…。 (2014年9月2日 16時) (レス) id: 2c93f684a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みなみな | 作成日時:2014年8月31日 18時