22人目。 ページ23
「あの。
紫原くん、でしたよね?」
私は、モグモグとまいう棒という食べ物をかじりながら、壁に身を任せている彼に声をかける。
彼は、ゆっくり私を見下ろすと、また新しい食べ物の袋を開けながら答えを返してきた。
「んー?そーだけど。
…てか、今気づいたけど俺アンタの名前知らないじゃん。アンタ名前はー?」
「へ…?
…え、えと『三葉』と呼ばれていますが…」
私から話かけたはずなのに、何故か名前を聞かれてしまい、答えがおどおどとした自身の無いものになってしまう。
私が怪しまれないか不安を抱く中、当の紫原は、そんなことなど気にするわけでもなく___
「ふーん。てか、名字は?」
気だるそうに名字を聞いてきただけだった。
「えと、名字…?」
______とはいえ、名字の無い私には、咄嗟にどう言っていいのかわからず…
「も、桃…
そう、燃実です。モエミミツバです。」
「ふーん。燃実ねー」
咄嗟に燃実などと名字を作ってしまった。
『燃実』、か______
桃の語源である『赤く燃えたように見える実』をそのまま名字にするなんて、未練がましいにも程がある。
_____我ながらネーミングセンスの無さに嫌気がさしてきた。
「てかさー、燃実はなんでここでメイドなんかやってんのー?
歳とか絶対俺らより下じゃんか」
ふと、心を落ち着かせながら窓の外を眺めた時だ。
___ガラスに映る紫原がじっと私を見据えていた。
「……貴方には、関係ありませんよ。」
私は、それだけ言うと振り返って微笑んで見せた。
紫原は、一度とんでもなく不服そうな顔をしたと思うと、口を尖らせながら拗ね始めた。
「…ぶー。
燃実は桃ちんと違って性格悪いねー」
「なっ…!!
なんでそこで"あの人"が出て来るんですか!?」
「俺は思ったこと言っただけだしー。
てか、そろそろ赤ちんが心配するから戻ろ?」
「ま、待って下さいって!!」
そうして、私は紫原について行くような形で部屋へと戻っていた。
______彼の表情は見えないけど…
なんとなく、紫原の表情が緩んでいた気がした。
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黒ウサギ - ハーイ(*´▽`*)楽しみにしていますねっ☆ (2014年11月1日 22時) (レス) id: 630c907ecf (このIDを非表示/違反報告)
みなみな(プロフ) - 黒ウサギさん» ありがとうございます(´∀`*)是非是非、これからもよろしくお願いします(`・ω・´)キリッ (2014年11月1日 1時) (レス) id: 0af48c629f (このIDを非表示/違反報告)
黒ウサギ - お話いつも読ませて貰ってます(^○^)続きが気になって仕方がありません;^)更新楽しみにしています(≧∇≦*) (2014年11月1日 0時) (レス) id: 630c907ecf (このIDを非表示/違反報告)
みなみな(プロフ) - 心縷々さん» えーと…私は心縷々さんの作品を読んだことが無いのでアドバイスというより、自分が気をつけていることを言いますけど…一先ず、私は裏設定を大量に作っていたりしますね。物語の中では語られることの無い物語…そういうものが人を惹きつける魅力だと思うのです (2014年9月2日 17時) (レス) id: 0af48c629f (このIDを非表示/違反報告)
心縷々(プロフ) - あの、お願いがあります。私はホラーを書いているのですが、この小説は私の書けないなんか難しい展開が上手いと思いまして…。厚かましいのですが、アドバイスとかもらえませんか?お願いします!作者名はこのままなので…。 (2014年9月2日 16時) (レス) id: 2c93f684a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みなみな | 作成日時:2014年8月31日 18時