19人目。 ページ20
「え、えと…
そ、その、三葉…?なんかゴメン」
Aはバツが悪いというように私を見た後、ギュッと力強く手を掴んできた。
顔を俯かせ、そっと手を握ったAは、少し毛恥ずかしそうに見える。
「むー…なんで謝るのさ…?
…ていうか、Aってばジンさんの前で口調変わる癖は治らないんだねぇ…」
私は、平静を装いつつニヤッと笑みを浮かべながらAの顔を覗き込んでみる。
案の定Aは頬を赤く染めながら"そんなことないから…"と小さく口を尖らせた。
「…あ。
ねぇ、三葉。"人間"って、どんな生き物…?」
「・・・え?」
ふと思い出したように顔を上げるA。
まさかAからそんな言葉が出てくるとは思ってなくて、上手く相槌も出来なかった。
「わ、私よりもAの方が詳しいんじゃない?その、学校ってとこに通ってたんだし…」
______動揺が抑えきれない。
"彼女"と再開してすぐにAがこんな話をするなんて......偶然にしては出来すぎている。
無意識にも答える声は、微かに震えてしまっていた。
「わかんないんだ…何が嘘で、何が本当なのか。
"人間ってこんなだったっけ"って。
だから、三葉にも話を聞きたかったの」
申し訳なさそうに呟くAの声は、どんどん小さく_______否、頭に入らなくなっていた。
「そ、そっ…か」
「…ねぇ、三葉から見た人間っどんなの?」
「私から見た、"人間"・・・
自分勝手で、すぐに約束を破って、信頼出来なくて、それに____
ご、ごめん。変なこと言った。今の忘れて!」
何も考えずとも、言葉は口をついて出てしまっていた。
____人間に対する悲しみや苦しみ。
その全てが、言葉という形を取って、感情の表へと出てきたんだと思う。
「やっぱり三葉ってすごいなぁ。
自分のこと、ちゃんとわかってあげられてる。
それに比べて、私は......」
Aは私を見ながら微笑んだ。その表情は、どこか自己嫌悪に浸っているようにも見える。
_____すごくなんか無い。
むしろ過去に囚われてばかりで、前を見ようとしない______臆病者だ。
だから私は、真っ直ぐ未来を見つめられるAが羨ましい。
「わからなくてもいいんだよ。
だって、それってつまり____
ううん。
やっぱなんでもない。私、仕事に戻るね」
____やっぱりAには言いたくないから…私は逃げるようにしてその場を去っていた。
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黒ウサギ - ハーイ(*´▽`*)楽しみにしていますねっ☆ (2014年11月1日 22時) (レス) id: 630c907ecf (このIDを非表示/違反報告)
みなみな(プロフ) - 黒ウサギさん» ありがとうございます(´∀`*)是非是非、これからもよろしくお願いします(`・ω・´)キリッ (2014年11月1日 1時) (レス) id: 0af48c629f (このIDを非表示/違反報告)
黒ウサギ - お話いつも読ませて貰ってます(^○^)続きが気になって仕方がありません;^)更新楽しみにしています(≧∇≦*) (2014年11月1日 0時) (レス) id: 630c907ecf (このIDを非表示/違反報告)
みなみな(プロフ) - 心縷々さん» えーと…私は心縷々さんの作品を読んだことが無いのでアドバイスというより、自分が気をつけていることを言いますけど…一先ず、私は裏設定を大量に作っていたりしますね。物語の中では語られることの無い物語…そういうものが人を惹きつける魅力だと思うのです (2014年9月2日 17時) (レス) id: 0af48c629f (このIDを非表示/違反報告)
心縷々(プロフ) - あの、お願いがあります。私はホラーを書いているのですが、この小説は私の書けないなんか難しい展開が上手いと思いまして…。厚かましいのですが、アドバイスとかもらえませんか?お願いします!作者名はこのままなので…。 (2014年9月2日 16時) (レス) id: 2c93f684a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みなみな | 作成日時:2014年8月31日 18時