どこまでも、深く深く (ページ41)

今日:7 hit、昨日:9 hit、合計:15,432 hit

三十九話ページ41

船長に腹を刺された少女
気づけば目の前には愛しの彼が居た

｢A...？起きたっ!?｣

｢ろ...ど...｣

｢動かんとき...出血が多い｣

人魚に囲まれた少女は彼の腕の中で
苦しそうにぐったりとしていた

｢兄ちゃん、何とかならんのかいな！｣

｢こんなに深い傷じゃ治すことができん！｣

｢このままにするんか!?好きな子なんやろ!?｣

｢トーニョやめろ、彼女の傷に響く｣

｢せやけど！｣

｢トーニョ、帰ろうぜ｣

一匹引きずられながら帰る三匹
そして二人は浜に残された

｢ろど...り...ご...｣

｢喋らんときって...｣

｢さい...ご...くらい...｣

｢やめてぇや！最後なんて...｣

少女は必死に人魚の頬に手を伸ばし涙を拭った
その手を人魚は掴み、離すまいと握りしめる

｢ご...めん...ねむくなって...きた...｣

｢逝かんといてっ...独りにせんといて...！｣

｢ろどり...ご...きす...して｣

｢いくらでもしたるから...！｣

人魚は少女の額に何度もキスを落とし
最後に軽く口付けをした

｢私...のこと...わすれ...ないで...｣

｢っ...いやや...いややっ！｣

｢あ...いし...て...る...｣

フッ...と目を閉じる少女
人魚はその場で泣き叫んだ

｢俺を置いて行かんといてぇぇぇ！｣

ビリジャンの目から大量の雨を流しながら...

『全く、しょうがない奴だコノヤロー』

『兄ちゃん、仕事なんだからさ』