治くんは、おさまらん。 (ページ18)

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治くんは、やる気がおさまらん。ページ18

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私達が熱を出してから2週間程が経ち、

今日はついにIH前日となった。

当然だが、空気はピリピリしている。

私は1年の頃からマネージャーをしており、IH、春高と2度全国を経験させてもらっているのだが、

それでもピリついたこの空気は何度体感しても慣れないものだ。

そのピリついた空気、IH前日という事実というだけで私の緊張は凄いのだが、

今回、皆の本気度に感化され、私はお守りを作ったので、それを渡すという重大なミッションがある。

そのせいで前回までの比にならない緊張をしていた。

そしてそんな私に追い討ちをかけるかのように、

気づけば練習、そして片付けまでもが終了し皆が帰る準備をしていた。

そう、私は完璧に渡すタイミングを見失っていた。

私はどうすることも出来んと、お守りが入った紙袋をただただ握りしめて戸惑っていた。

すると、ポンっと私の肩に誰かの手がのった。
驚いて横を見るとそこには治くんがいた。

治くんは私が驚いている隙に、私の手から紙袋を奪い、中身を漁ると、お守りを取りだした。

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「これ、お守りやんな、？

Aが作ったん.......！？キツネやんな！
にこって笑っててめっちゃかわええなぁ！！」

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治くんは、

わざわざ高いところにお守りを掲げ、
わざわざ大きな声でお守りのことを言った。

そう、全部わざと。
自分から言い出せず困っていた私のためや。

これは自意識過剰なんかやない。

そのおかげで、皆がお守りを貰いに来てくれた。
そして口々に笑顔でありがとう、と言ってくれた。

私は治くんに貰ったチャンスを生かさないと、と思い、意を決して大きく息を吸った。

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『あ、あの！皆さん、！！！

明日っ、頑張ってください！！！！』

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私は出せるだけの大きな声を張り上げて言った。

もっと言いたいことはあったけど、
私は恥ずかしくてこれが限界。

そんな私を、大きな拍手と、大きな返事で皆は包み込んでくれた。

すると治くんは私の前に来て、少し頬を染めて言う。

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「なぁ、めっちゃ活躍したら、

なんかご褒美くれへん？」

『.......ええよ。優勝したら.......やけどな？』

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治くんは笑顔で「おん！」と答えた。

その後「めっちゃやる気出てきたあああ」と雄叫びを上げていた治くんは、北さんにしっかり怒られとった。

私はチームの皆とその様子を見て笑った。

このチームなら、絶対大丈夫や＿＿

治くんは、やる気がおさまらん＿＿＿＿

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