治くんは、おさまらん。

治くんは、かっこよさがおさまらん。 ページ19

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ついに始まったIH本戦。

私達、稲荷崎高校は順当に勝ち続けた。



そしてついに決勝戦へ＿＿＿＿＿

決勝で当たったのは、【王者】井闥山学院。



結果、私たちは.......負けた。





周りは【王者】から一セット取ったことに対して、歓喜し褒め称える。


それに対して稲荷崎の皆は、
ただただ悔しそうに下唇を噛み締めていた。



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「相手が【王者】やろうがなんやろうが、


一セット取った“だけ”なんや。

それの何が凄いねん.......！！」



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侑くんの怒りが籠ったその言葉に、

皆の表情が更に苦しげになる。


侑くんはきっと周りへの怒りと言うより、

自分自身への怒りがすごいんやろなぁ。


.......それは、まぁみんな同じか。



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「.......ツムの言う通りやなぁ。

Aもごめんな？

お守りとかでめっちゃ応援してもろたのに、
優勝するって約束守れんと.......。」



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治くんが絞り出したような声で私にそう謝る。


私は、治くんのその言葉をきっかけに、

堪えていたもんがどっと溢れ出した気がした。


これ以上.......

下を向いてる皆は見たくないねん。

特に下を向いてる治くんは.......見たくないんや。



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『怒る暇も苦しむ暇も謝る暇も、うちらにはないんとちゃうの？

次どうやって勝つかまた考えて、ただひたすら練習するしかないねんから。

下向いて負けっぱなしの皆は、めっちゃかっこ悪い。


.......って、めっちゃ偉そうにすみません！！』



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あかん、つい熱くなってしまった。

めっちゃ失礼やんな？偉そうやんな？嫌な奴やんな？

.......あかん、ほんまに言いすぎた。


どうして弁解しようか、そう思っていると、

次の瞬間には皆の笑い声が聞こえた。



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「ははっ、Aの言う通りやなぁ。
さっさと帰ってミーティングせなな。

.......春高で全部勝つために。」


「「「「.......おう！！/はい！！」」」」



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もう、そこには敗者なんて誰一人おらんかった。



かっこ悪いって言ったん前言撤回せなな。



贔屓目とかそんなんお構い無しに、

皆が一番、かっこええよ。




絶対面と向かって言わんけど、


上を向いて、前を向いて、突き進む。

そんで、いっつも私に笑いかけてくれる。



そんな治くんが一番.......かっこええよ。




治くんはかっこよさがおさまらん＿＿＿＿




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