09・ぎりぎりと涙 ページ9
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やっべっ！
飛び乗った電車、超ぎりぎりの時間、
ばいばいって手を振る彼女に、同じ
ように手を振って、過ぎてく車窓の
向こう、夜景を見る。
こんな感じなんだ……
俺がもし、芸能人じゃなくて、
嵐じゃなくって、
そんな人生を送っていたら、
こんな風に普通に恋をして、
こんな風に普通にデートして、
普通に電車ん乗って帰る。
「ただいま。」
帰った俺の目の前に居たのは、
仁王だった。
「おっせぇ！」
「うっ！ご、ごめん！！」
「あれほど念、押したよな？
12時までには帰ってこいって。」
「はい。」
見ると、ぎりぎりだと思ってた
時間はもうとっくに過ぎてて、
背中を冷や汗がつたう。
がっと頭を拳で両方から抑えられ、
ぐりぐりと力を入れられる。
「いだだだだだだっ！
痛いよ！松潤！」
「だぁ〜れが松潤だ！
お父さんと呼べ！
翔さんを悲しませるなんて
お前、マジふざけんな！」
そんな仁王のとうちゃん松潤を
止めたのはのほほ〜んとした
リーダーの声。
「とうちゃ〜ん、いい加減にしないと、
母ちゃん、待ってんだけど。」
「そうだな。」
どんだけ父ちゃん母ちゃんが好きなの？！
「ほら、さっさと手ぇ洗って来い。」
「はい。」
彫が何時もより深くなってる松潤に
逆らえるはずもなく、慌てて洗面所へ。
出て来た俺を待ってたのは飾り付けら
れたリビングダイニングと、おしゃれに
セッティングされたテーブル。
「誕生日、おめでと。
デート、楽しかった？」
優しく笑う翔ちゃん母ちゃんを見た
瞬間、涙がなんだかこぼれた。
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作者名：shaa.manamas | 作成日時：2018年2月1日 17時
