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「さぁ次はママの番だね。」

上杉君と別れた後、一緒に私の家へと向かう。
自転車をこぎながら、だんだん不安になってくる。

ママは大丈夫だろうか?
帰ってもまだ頭を抱えていたらどうしよう……

家の前で自転車を止め、玄関へ行こうとすると黒木君に肩を抱かれた。

「大丈夫。俺にまかせて。」
耳元にある顔は優しく、余裕でウインクする。

うん、そうだね。黒木君が言うなら心配は無い。
私は勇気を出して玄関を開けた。

ママは夕食の準備をしていて、黒木君が来たことを伝えると顔がほころんだ。

『上がってお茶でも。』とママは強く勧めたが『玄関先で。』と黒木君は丁重に断った。
そして『大晦日、家族が旅行に行って淋しいので、一緒に夕飯を食べさせてもらえないか?』と申し出た。
ママは即答。『ぜひ、いらっしゃい。』

一気に顔色が明るくなった。
黒木君…すごい……
恐るべし“対人関係のエキスパート”!

黒木君が帰る際、お礼を伝える。
「礼はまだ早いよ。勝負は大晦日。初詣、行けるよう頑張らないとね。」
爽やかな笑顔を残し、颯爽と帰って行った。
そうだね。私も頑張る。



大晦日。
前日お兄ちゃんは家に帰ってこなかったようだ。

私はママの不機嫌を見越してゴマをするべく、大掃除等手伝いをするつもりで朝早くに起きた。
が、いつもなら早く起きてるママは私と同じ時間に起きてきた。

「あら、早いのね。まだ朝ごはんの仕度、何もしてないわよ。」
「ママは遅かったんだね。」
階段を降り、一緒にリビングへと入る。

「女だけって気楽で良いわぁ。気を使わなくて済むもの。」
エアコンのスイッチを入れ、パジャマのままテレビを付けた。

なんて違和感のある光景だろう。
記憶する限り、ママが朝、私より遅くパジャマのままで過ごすなんて無かったと思う。

基本丈夫な身体でもあるし、熱を出した時でも服は着替えていた。
パパがいないだけで、こんなにも違うものなのかな?

でも一年最後の日。
今日くらい誰にも咎められることは無いのだから、ゆっくりするのも良いよね。

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千祥(プロフ) - みなみさん» 最後まで読んでいただいて、とても嬉しいです。ありがとうございました。 (2019年1月17日 0時) (レス) id: b78f8b2173 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ(プロフ) - 面白いです!終わり方も好きです笑 (2019年1月14日 13時) (レス) id: 405036adca (このIDを非表示/違反報告)
千祥(プロフ) - Wings(心渚)さん» ありがとうございます。頑張ります! (2018年12月30日 0時) (レス) id: b78f8b2173 (このIDを非表示/違反報告)
Wings(心渚)(プロフ) - 頑張ってください、影から応援してます笑 (2018年12月28日 16時) (レス) id: ce1217488b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:千祥 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2018年12月27日 0時

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