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案の定、電話をママと替わる頃にはクールボーイは歌い終わっていた。

恨むわ……豆餅の親戚……

悔しい気持ちを押さえ黒木君を見ると、テレビを睨んでいる。

どうしたんだろ?
不思議に思い、顔を覗き込む。

「黒木君?」
私の声に驚くと、苦虫を噛み潰したような顔を向ける。

「アーヤ……君は……

「ねぇねぇ黒木君、さっきの歌ってお姉ちゃんの名前でてきたよね?」
何か言いかけたのに、奈子が話しかけたことによって普段の黒木君に戻った。

「さぁ?どうだったかな?」
「絶対出てきたよ!ダメじゃない、ちゃんと見てないと!」
黒木君は眉尻を下げ、とても困っている感じ。

「奈子!黒木君が困ってるでしょ。だいたいどうして私の名前が出るのよ?」

少し強めの口調で言うと、黒木君には喧嘩が始まるように聞こえたみたい。
慌てて座を取り成そうとした。

「多分、奈子ちゃんはアーヤと同じ名前の字が出てきたからじゃないかな?」
「違うよ!立花彩、って出てきたもん!」
剥れる奈子に、またもや考え込む黒木君。
私は二人に訳が分からずお手上げ状態。

「あなた達何してるの?食べ直すわよ。」
テーブルからママに言われ三人、共に解せない面持ちで立ち上がった。
が、席に着くと何事も無かったかのように食事は進んだ。

ママは黒木君から頂いたシャンパンで頬をほんのり赤くして笑顔を絶やさない。

チャンス到来!

明日のことをさりげなく聞いてみる。
すると即OKを貰えた。
黒木君に目で合図を送るとすぐ、皆にLINEを送った。

良かった。これで黒木君の任務も完了だね。


楽しい食事も終わり、私は最後のご機嫌取り。
上機嫌のママにリビングへ行ってもらい、後片付けをする。

「手伝うよ。」
ネクタイの端を胸ポケットに入れ、スポンジを手に取った。
「大皿や鍋を洗うのは大変だろ?」
微笑む黒木君に感動し、ため息が溢れる。

パパとお兄ちゃんに黒木君の爪の垢を煎じて飲ませてやりたいわ……



「気を付けて帰ってね。またいつでもいらっしゃい。歓迎するわ。」
玄関でブーツを履く黒木君に背後からママが声を掛ける。

「黒木君、黒木君なら新しいお兄ちゃんになっても良いよ。」

ちょっと、奈子! 何てこと言ってんのよ!?

ママと並んで見送る奈子に黒木君は笑った。

「奈子ちゃんの承認ほど嬉しいことは無いね。」
「でしょ?後でお姉ちゃんにいっぱい説得しておくから。」

はぁ?

「ありがとう。期待してるよ。」

勝手に二人で話を進めないでよ!

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千祥(プロフ) - みなみさん» 最後まで読んでいただいて、とても嬉しいです。ありがとうございました。 (2019年1月17日 0時) (レス) id: b78f8b2173 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ(プロフ) - 面白いです!終わり方も好きです笑 (2019年1月14日 13時) (レス) id: 405036adca (このIDを非表示/違反報告)
千祥(プロフ) - Wings(心渚)さん» ありがとうございます。頑張ります! (2018年12月30日 0時) (レス) id: b78f8b2173 (このIDを非表示/違反報告)
Wings(心渚)(プロフ) - 頑張ってください、影から応援してます笑 (2018年12月28日 16時) (レス) id: ce1217488b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:千祥 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2018年12月27日 0時

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