One and Thousand's story ページ24
駅から自転車を走らせていると、急にペダルが動かなくなる。
考える余裕も無く、車体が左右にぶれると真横にガシャンッ!と身体ごと倒れてしまった。
一体何が起こったの?
倒れた自転車を呆然と眺めていると、頭の上で声がした。
「大丈夫?」
見上げると後ろから顔を覗き込むように青年が立っていた。
サラサラの前髪の間から覗く瞳を見た私は金縛りになったように動けない。
ただ瞳だけを凝視してしまう。
「パンツ……見えてるよ。」
初めて間近で見るブルーグレーの瞳に我を忘れかけていた時、思わぬ現実に引き戻される。
転倒した拍子に制服のスカートは捲り上がり、大腿が露になっていた。
慌ててスカートで大腿を隠すと青年は肩を揺すって笑いだした。
動揺して急いで立ち上がろうとすると、片足がペダルに付いたまま。
またもやバランスを崩し倒れそうになった。
が、今度は倒れる事無く、青年が私の身体をしっかりキャッチしてくれた。
「そのままゆっくり座って。」
脇に手を添えられ静かにその場に座る。
青年はペダルに乗ったままの私の足から靴を脱がせてくれた。
そう、私は履いていた靴のヒモがペダルに巻き付いて動かなくなりバランスを崩したのだ。
「はい、どうぞ。」
しゃがんで靴を足元へ置いてくれた青年は限りなく赤に近い黒髪を顎のラインで切り揃え、長い前髪もほぼ同じ長さのショートボブ。
美しい瞳を半分隠すように私を見ている。
白い肌に高い鼻……明らかに日本人では無い容貌に息を呑む。
「どうしたの?どこか痛い?それとも頭打った?」
「いえ……大丈夫です……」
魂を持っていかれたみたいに気の抜けた返事しか出てこない。
「よかった。じゃ、気を付けて。」
立ち去ろうとする言葉に慌てて魂を引き戻した。
「あの、ありがとうございました!」
頭を下げ礼を言うと、前髪をかき上げながら微笑を湛え、その美しい瞳を鼻先へと近づける。
「黒のボクサーパンツなんて、見た目と違って格好いいじゃん。」
一気に頭頂まで熱が上がる。
ケラケラ笑いながら片手をポケットに入れ、反対の手はヒラヒラさせ去って行く。
恥ずかしさのあまり声にならない叫びを青年へぶつけた。
ボクサーパンツじゃありません!
スパッツです!!
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千祥(プロフ) - nana 名無し82170号さん» 楽しんでいただけたなら、とても嬉しいです。読んでいただき、感謝!です。ありがとうございました! (2018年11月11日 23時) (レス) id: b78f8b2173 (このIDを非表示/違反報告)
nana 名無し82170号(プロフ) - 面白すぎ!!見てる時ずっと爆笑してた (2018年11月10日 11時) (レス) id: 2b0f8564ed (このIDを非表示/違反報告)
千祥(プロフ) - 大河さん» 忍のスカート丈は膝上or膝下orロングどれでしょうね…私はロングであって欲しいと切に願っております(^_^;) (2017年12月14日 22時) (レス) id: b78f8b2173 (このIDを非表示/違反報告)
大河 - 忍うう〜!スカートやめてくれ!まぎらわしいぞ!! (2017年12月13日 21時) (レス) id: bba2598702 (このIDを非表示/違反報告)
千祥(プロフ) - 恋檬さん» ありがとうございます(^^) (2017年12月3日 0時) (レス) id: b78f8b2173 (このIDを非表示/違反報告)
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