調査兵団の右翼と左翼＿season3【進撃の巨人】

◆ ページ5

(リヴァイside)


Aが泣く姿を見て、珍しく後悔をした。

…どこからだ。いや、昼間にもうあんな事を言ってしまったことがもう、良くなかった。

Aが俺を選んだ事で、調子に乗ったのだと思う。踏み込んでもいいのかもしれないと、思ってしまったのだろうと、今ではそう思う。


上司と部下。
救った奴と、救われた奴。
お互いの隣にいようと、約束した者同士。


こうして見れば十分な関係にも関わらず、そこに”恋人同士”という関係を加えたがったただの俺の我が儘だ。

あんな顔をさせるくらいなら、このままでもいい。
Aが気づかないふりをしていてそれで幸せならそれでいい。

どうせこれからだって隣にいるんだ。
対して変わることじゃない。


そう、思っているはずなのに。


自分でも計り知れないくらいの傷を、負ってしまった気がしていた。

それ以上の関係を求めることは、Aにとっては辛い事だという事実が、どうしようもなく俺の胸を締め付けた。

Aへの気持ちを自覚してから、俺はいつの間にかどうしようもないほどAの事しか考えていなかったことに、ようやく気がついた。

それくらい、自分の中で大切な存在だった。
触れるのが怖いくらい。
＿＿＿＿ずっと、前からだ。


Aにあんな顔をされた直後だというのに、俺がそれ以上を求めた結果があれだと言うのに、どうしようもないくらい馬鹿馬鹿しい欲求が胸を渦巻く。


＿＿＿＿あの細くて小せぇ身体に、

どうしようもなく、触れたいなんて。


己の欲深さに、恐ろしくなる。
Aを傷つけたくない一方で膨らんでいく欲求に抗えそうもない自分が、怖いのだ。


リヴァイ「……チッ」


重症。それが以外の何者でもない。
自然に打った舌打ちはどこか物寂しげに、宵闇に響くことなく消えてしまった。

因縁→←◆

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す