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リヴァイさんの言葉のあと、無意識に下げていた頭をあげるといつものその強い瞳と目があった。
エルヴィン「…リヴァイのいう通りだ。私達も君の考えに異論はないが__君は、あの場所に行ったとしていつものように戦えるのか?」
「___!」
私は唇を噛む。当然の質問だった。
彼奴らの姿を見ただけで情けなくもリヴァイさんに助けを求めなくてはならないくらいに精神が追いやられたのだ。あの時足すくんだ感覚を思い出して、私はさらに唇を深く噛む。
「…戦います」
絞り出した言葉は、意外にも強い意思を孕んでいた事に自分でも驚いた。
私はあの時リヴァイさんに出会わなければ、ずっとあの生活から抜け出すことは出来なかった。あの生活でも生きていれればいいとすら思っていた節すらあるのだ。
あの場所に戻るのは正直怖い。あれから5年間、あの拠点どころか地下街にすら足を踏み入れていなかった。
戦えないなんてことがあってはならない。
戦わなくてはいけないのだ。
あの場所に行って怯んで戦えませんなんて、そんな惨めな姿を晒すわけにはいかない。
エルヴィン「…分かった。兵は最小限で行うため、…そうだな、今ここにいる兵と、ミケを加えた5人体制で奇襲を仕掛ける。作戦は私とハンジで練ろう。Aはもう今日は休んでくれ。…リヴァイ、一応警護を頼んだ」
私はエルヴィンさんの言葉を受けてようやく、リヴァイさんとは気まづい空気感にあることを思い出した。一方的にほぼ拒絶のようなことをしたのにも関わらず、結局自分の都合で頼ってしまったことも。
リヴァイさんと2人になるのは気まずかったけれど疲弊していたのも本当なので、私はエルヴィンさんの言う通り、頷いて廊下を出た。
パタンと団長室の扉が閉まり、唯一漏れ出ていた燭台の灯りが無くなると一気に暗闇が私達の身体を包む。
ただ窓から入ってくる溺れるくらいの月光が、隣にいる上司の綺麗な横顔を浮かび上がらせた。
「…リヴァイさん」
特に話すことも思い付いていないのにも関わらず、いつもの癖で名前を呼んでしまってハッとする。
「…ごめんなさい」
何に対して謝ったのかと言われたら、自分でも分からない。謝ることがあまりにも多すぎたのだ。
何故か自然と溢れてくる涙を溢さないよう唇を噛みながら俯く。
リヴァイ「…別に、気にしちゃいねぇよ」
リヴァイさんは優しい。
だからこう言ってくれることも、半ば分かっていた。
でもその言葉に私は何故か、
寂しさを覚えた。
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むささび(プロフ) - 一気に読み進めてしまいました。とても面白かったです。番外編ではなく、是非続編として本編のストーリーで夢主ちゃんが活躍&キャラと絡むのか拝見したいです!一先ずはお疲れ様でした!また拝見出来る日を楽しみにしております。 (6月26日 17時) (レス) @page35 id: 2279a97b0b (このIDを非表示/違反報告)
みみみみみ(プロフ) - フォールさん» ありがとうございます!完結まで見届けてくださり嬉しいです🙇♀️これからもがんばります、、!! (2023年3月16日 16時) (レス) id: d7f9a920c5 (このIDを非表示/違反報告)
みみみみみ(プロフ) - ゆるさん» コメントありがとうございます!とても光栄です🙇♀️これからも頑張ります!😭 (2023年3月16日 16時) (レス) id: d7f9a920c5 (このIDを非表示/違反報告)
みみみみみ(プロフ) - らなさん» ありがとうございます…!とても嬉しいです😭これからも頑張ります💪 (2023年3月16日 16時) (レス) id: d7f9a920c5 (このIDを非表示/違反報告)
フォール(プロフ) - 完結おめでとうございます!!!素晴らしい作品だったので無事完結したことを嬉しく思います!!すっっごい面白く、素敵な作品で、あっという間に最後まで読んでしまいました!これからも頑張ってください!!! (2023年3月15日 23時) (レス) @page35 id: eb505c02be (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みみみみみ | 作成日時:2022年10月22日 22時