29-7. ページ27
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チョコレートを目にした猛くんは、見ている私でもわかるくらいに落胆しているようだった。
そんなダメだったのかな
けっこう頑張ったつもりなんだけど…
「買ったやつかよ」
『作ったよ…!』
「は?だって、お前これ…店とかに置いてるやつだろ」
『練習したの。甘いの普段食べないからわからなくて、いっぱい練習して…それでずっと一緒に帰るの断ってた。ごめんね?』
「なんだよ、それ…」
『猛くん…?』
「俺に飽きたんだと思ってたわ」
『えぇっ!?なんで…』
「Aが俺のこと避けるからだろ」
『ごめんなさい。でも、猛くんのことだけが好きだよ』
本日2回目の告白。
1度言えてしまうと、2回目は自然と口から出てきた。
顔を抑えながら俯く猛くんの耳がほんのり赤い。
もしかして、照れてる…?
猛くんの反応が気になって覗き込むと、顔を抑えてるのと反対の手で押しやられてしまった。
「マジで悪いと思ってる?」
『うん。もう避けたりしないって約束する』
「反省してんの?」
『うん。きゃっ』
突然腕を引かれ、また私は猛くんの膝の上。
今度は向かい合わせに座らせられ、不敵な笑みで私を見上げる猛くんと目があった。
「じゃあ、これ食べさして」
私があげたチョコレートを差し出してくる猛くん。
さっきまでと罫線逆転。
戸惑う私に余裕な表情の猛くんが摘んだチョコレートを私の指に持たせた。
慣れないことに緊張から震える指で、なんとかチョコレートを猛くんの口へ運ぶ。
「ん。美味い」
『良かっ、た…』
「Aにも食わせてやろうか?」
『わ、私はいっぱい味見したから…』
「まぁ遠慮すんなや」
ニヤリと笑った猛くんがチョコレートを口で挟むと、私の後頭部へ手を回して引き寄せた。
猛くんの唇から私へと移されるチョコレート。
何度も確かめた味で、甘くて苦手なはずなのに嫌じゃなかった。
「美味い?」
猛くんに真っ直ぐ見つめられ、私は両手で顔を覆いながら頷くので精一杯だった。
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未亜(プロフ) - 青葉さん» 青葉さん、コメントありがとうございます!誤字訂正させていただきました! (2019年8月12日 6時) (レス) id: 6167177232 (このIDを非表示/違反報告)
青葉 - 物語読んでいて気が付いたのですが...。 29-5.のここの台詞 『私と話がしたいんだよね。逃げようとしてごめんなさい。別れ話でもちゃんと聞くから、美咲さんに怒らないで』 これ正しくは美咲さんをではないんでしょうか? (2019年8月10日 1時) (レス) id: fa78cdaff1 (このIDを非表示/違反報告)
青葉 - 物語読んでいて気が付いたのですが...。 29-1.嫉妬しましたのここの部分 きっとチョコレートの食べ過ぎて胸焼けしてるのね 味見はしばらく控えるようにしないと… これ正しくはチョコレートの食べ過ぎで もしくはチョコレートを食べ過ぎてではないんでしょうか? (2019年8月10日 1時) (レス) id: fa78cdaff1 (このIDを非表示/違反報告)
青葉 - 何度も続けてのコメントですみません...。 物語読んでいて気が付いたのですが...。 同じく28.会えない日々のここの台詞 「…私、猛の彼女の見てみたいんだけど!」 これ正しくは猛の彼女のことではないんでしょうか? (2019年8月10日 1時) (レス) id: fa78cdaff1 (このIDを非表示/違反報告)
青葉 - またまた続けてのコメントですみません...。 物語読んでいて気が付いたのですが...。 28.会えない日々のここの部分 ※美咲さん、今回の話でお名前被ってしまってすみません。 これってどういう意味なんでしょうか? (2019年8月10日 1時) (レス) id: fa78cdaff1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:未亜 | 作成日時:2019年3月2日 19時