相良くんと高嶺の彼女２

30-1.生徒会長とヘルメット男 ページ28

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『新入生の皆様、ご入学おめでとうございます。春の日差しが温かいこの良き日に、皆様を迎えられましたことを在校生一同、心から嬉しく思います』



年度が替わって、入学式。
私は在校生代表として式に出席していた。
…というのも、遡ること１週間前。





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「A、頼む…っ！お前にしか無理だ！」


『でも、私は美化委員で…』



春休みの職員室。
美化委員として長期休暇中の清掃活動のために登校していた私は、椋木先生を筆頭にした教師陣に頭を下げられていた。
生徒会長をしていた生徒が春休み中に転校してしまい、急遽代理の生徒会長を決めなくてはいけなくなったらしい。



「美化委員は代わりを探すから頼むっ！Aが生徒会長をやってくれ！」



そんなやり取りの末、断りきれずに引き受けることになってしまったわけで…
AA、春から軟葉高校生徒会長です。





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事務処理を済ませて教室に戻る途中、１年生のフロアで三橋くんと理子ちゃんと遭遇した。



『何してるの？』


「おぅ、A。生徒会の仕事終わったのか？」


『うん』


「お疲れ様、Aちゃん」



理子ちゃんにお礼を伝え、教室に戻ろうとした私たちの背後で黄色い声が響く。
あまりの声量に足を止めて振り返ると、大勢の1年生が廊下を埋め尽くしていた。



「生徒会長のAAさんだわ！」


「すっごく綺麗…」


「あの…！私、中学の頃からAさんに憧れていて…握手してください！」


『ありがとうございます』



自分へと向けられた手をそっと握ると、途端に周りから歓声が上がる。
それに続くようにいつの間にか長蛇の列ができ、さながら廊下は握手会の会場と化した。



「Aちゃんが１番人気みたいね」


「さすがは俺の嫁だな」


「えっ！！Aさんと三橋さんって付き合ってるんですか！？」


「まぁ、そう思ってもらっても差異はないでしょう」


「三ちゃん！また勝手なことばっか言って！Aちゃんの彼氏は相良くんでしょ！」


「彼氏さん、どんな方なんですか？」


「Aさんの彼氏さんなんだから、きっと素敵な方よ」


「素敵ぃ？あのなぁ、Aの彼氏は


「三ちゃん！！」



理子ちゃんが三橋くんを一喝し、その場の視線が私に集まる。



『えっと…はい。優しい、素敵な人です』



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