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#160 其の肆、終幕。 ページ43

散々脅した後に、領主さまはすぐに腰抜けた従者をしょっぴき、ついでに差し入れのお酒と私へのお饅頭(お酒は(一応リアルでは)未成年なので遠慮したかった)を取りに従者を城へと飛ばした。


「ぐえっ」

唐突に背中に受けた衝撃に、思わず蛙のような声を上げてしまった。……顔を見ずとも分かる。愛しい愛しい、もう1つの私の家族。

「びっくりさせちゃったね。私のこと、やっぱり怖くなっちゃったかな?」

「てやんでぇ…ふふっ、怖くないよ。お姉さんの優しいところの方がいっぱい知ってるもん」

「そっかっ」

「……別に。格好付けってしか思ってねぇやい」

「そっか、そっかぁ……っ、よかったぁぁぁぁっ」

怖がられ、距離を取られること覚悟だった。歪んでいく視界を誤魔化すように、振り向いて可愛い可愛い天使達をギュウギュウにしてやった。

「泣いてるの?」

「っ、なわけ」

「嘘つき」

「泣いてないったら、ないの」

「あっそ」
「ふふっ、よしよーし」

いい歳して、妹に頭を撫でられ。弟とは泣いてる泣いてないの水掛け論争をした。


**


天使達と戯れ癒された後。

「さぁさ、長いこと待たせてごめんなさい。お祭りを再開しましょう!!歌って歌って!!」

この妙な空気を打ち消すため、私が先導になるように手拍子を打ちながら数刻前に教えられたばかりの歌を歌う。
やがて。ポツリポツリと歌声が広がり、酔いが戻ったおっちゃんが踊り出す。

それに合わせて私が乱れ桜を振り回し剣舞もどきをして盛り上げた。
振るたびに舞い散る桜は、闇の中蝋燭や提灯に照らされ、人々の目を楽しませた。と思う。

シリアスにした空気は責任もって払拭していく。
お城から届いたお酒を「高いお酒が来たぞー!!」と次々にお酌して周った。

この世界ではとうに成人してお酒の飲める幸助達にお酌をした時。すっかり出来上がっていた3人にお酒を勧められ、遠慮した結果。羽交い締めにされ

「ちょ、待ってごふっ!痛い痛いっそこ鼻!!口じゃないんだけど!?」

鼻にお酒を注がれるという大惨事。
酔っ払い若者恐るべし。すっかり鼻がお釈迦になった。その後引き続き相撲大会の行司を。と引っ張られた。待って鼻がぁ!!


**


〈この世界に来て3ヶ月。成長しましたね〉

すっかり夜も更け、酔っ払い男達を送り届けた後。
夜風に吹かれながら彼はしみじみと言う。

「そう?……私はもっと強くなるよ。死ぬまでこの村を飢えから守る。それが、私から皆への恩返し」

〈そうでしたね。お供致します〉

巻末附録、ぴよガイド 壱→←#159



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imperatoris - 100票目頂きました! あざっす! (2018年8月6日 0時) (レス) id: 9caab1c44f (このIDを非表示/違反報告)
ひよこまめ(プロフ) - 冬乃さん» コメントありがとう。お待たせ致しました。続編が完成致しましたので、其の伍にてお待ちしております。今後とも是非御贔屓くださいませ。 (2018年1月4日 19時) (レス) id: 845d9be9cf (このIDを非表示/違反報告)
ひよこまめ(プロフ) - 幸さん» コメントありがとうございます。お待たせ致しました。続編が完成致しましたので、続編にてお待ちしております。今後とも御贔屓に。 (2018年1月4日 19時) (レス) id: 845d9be9cf (このIDを非表示/違反報告)
冬乃(プロフ) - 続き待ってます! (2017年12月27日 22時) (レス) id: cdd9e80849 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 続き楽しみにしてます (2017年12月7日 12時) (レス) id: 8ce45858db (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ひよこまめ | 作成日時:2016年7月9日 19時

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