#153 ページ36
「違うでしょう、身をわきまえろと言っているのです」
ここで一気に妖気を放出してやる。本能でビビった馬が小さく鳴いて逃げ出そうと後退った。完全なるとばっちりだ。君たちまで怖がらせてごめんね。
勿論領主さま御一行にも効果はあったようで、尻餅を付いてしまっている者もいる。情けないねぇ。
「皆さん、こう長く頭を下げていては辛いでしょう。領主さま、お許しを頂けますね」
ニッコリ。領主さまに向かってさらに妖気の圧をかける。断ろうものなら実力行使と行こう。私達の決着か着くまでこのままだなんて、頭に血が登るわ。
「っ、……あぁ。構わない」
領主さまの言葉に、皆おずおずと頭を上げた。
「さて。領主さまも参加なさり、お楽しみ頂く分には構いませんよ。ただ、この祭りはただの祭りではありません。私、神の名の元に村人達のためのお祭りです、出すぎた真似はおよしなさい」
誰も何も発さない、静寂の時。しかし、突如としてそれは破られる。
「っきゃぁ!!だ、誰か!」
「奥方さま!!」
ここで私の圧に耐えられなくなった1頭の馬が暴れ出してしまったのだ。…領主さまの奥さんか。振り落とされて怪我させる訳にはいかない。私はビビらせたいけど、怪我や痛い目を見てほしい訳ではない。
いつか、ゴリオくんとの試合で間を詰めたのと同じ要領で、瞬時に馬との間合いを詰め、怪我をさせないように最新の注意を払って、抱き下ろした。
「君たちには関係ないのに、悪いことをしたね。ごめんね」
馬の目に妖気を塗りたくり(まだあまり器用に飛ばせないのだ)、広く明るい草原を見せて落ち着かせようと試みる。すると
《A、馬に触れて目を閉じてみて下さい》
それまで静観を決め込んでいたくーくるから、藪から棒な指示が飛んできた。
先生のことだから何かあるのだろう。私は指示に従って馬の首に触れ、目を瞑った。
《いいですか、深いことは考えずに掌から馬へと妖気を流して下さい》
《纏わり付かせるのではなく、注ぎ込むように》
言われるまま、本当に深く考えず。ただ、触れているものに染み込め、染み込め、と念じながら妖気を手から放出した。
すると不意に、脳内に何本ものコードが浮かんできた。これは、いったい?
《見えたようですね。これは馬の神経達です》
し、神経とな!?
《以前、干渉出来るのが己の他に無機物だけであるか。有機物も含むかの違いだと言いましたね》
違うの?
《違いはしませんが、幻術の本質はそんなものではないのです》
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imperatoris - 100票目頂きました！ あざっす！ (2018年8月6日 0時) (
レス) id: 9caab1c44f (このIDを非表示/違反報告)
ひよこまめ(プロフ) - 冬乃さん» コメントありがとう。お待たせ致しました。続編が完成致しましたので、其の伍にてお待ちしております。今後とも是非御贔屓くださいませ。 (2018年1月4日 19時) (レス) id: 845d9be9cf (このIDを非表示/違反報告)
ひよこまめ(プロフ) - 幸さん» コメントありがとうございます。お待たせ致しました。続編が完成致しましたので、続編にてお待ちしております。今後とも御贔屓に。 (2018年1月4日 19時) (レス) id: 845d9be9cf (このIDを非表示/違反報告)
冬乃(プロフ) - 続き待ってます！ (2017年12月27日 22時) (レス) id: cdd9e80849 (このIDを非表示/違反報告)
幸(プロフ) - 続き楽しみにしてます (2017年12月7日 12時) (レス) id: 8ce45858db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ひよこまめ | 作成日時：2016年7月9日 19時
