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その瞬間、何かが弾けたような気がした。
聞いたことのある声だ、と思った。まるでずっと前から知っていたような。
…探していたような。
声の主…黒髪の、小柄だけれど体格のいい男性は私の隣に立った。
『な、何ですか、』
男たちはその男性の威圧感に怯み、何故か敬語でその男性に尋ねる。
リヴァイ「…こいつはお前らが思ってるより凶暴で、扱いにくい。やめておいた方がお前らのためだと思うが」
『は、はぁ?』
男たちは首をかしげ、『んだよ、いくぞ』と言って私の腕を離して去っていった。
しばらく、動けなかった。
私のなかで弾けてしまった何かの記憶を探ろうとしていたこと。見つけられたかもしれないという達成感があったこと。
そのどれもが動けないことの理由であったが、1番の理由は__
「…リヴァイ、さん…」
何故か泣いていたことにあるだろう。
私は口から漏れた言葉にハッとして口をつぐむ。
これは、彼の名?
何故か分からないけれど、今溢れ落ちた名前はたしかに、彼の名前のような気がした。
妙に呼び慣れた感覚。懐かしい感覚。
彼は黙って、泣く私を見ていた。
端から見れば、変な人というか、私が泣かされたように見えるだろう。
リヴァイ「…お前、就活生か」
「え?あ…はい」
私の手に持ってる大量の面接資料を盗み見たのか、彼はようやく言葉を発した。
リヴァイ「…俺達の会社に来い」
「………え?」
突然のスカウトに、涙も引っ込んで驚く。確かにまだどこの会社からも内定はもらっていないが、あまりにも急な話しすぎやしないだろうか。
しかし、何故かこんなことも懐かしいと、どこかで知っていることだと、そう思った。
ただ、私の意思ではなく本能の方で、口が勝手に動いた。
「…貴方はまた、私を拘束するんですね」
リヴァイ「…悪いか」
「…いいえ」
自分が言ったことなのに、会話の意味は全くもって分からない。
ただずっと、こんな会話を望んでいた気がした。
…探していた気がした。
「どこまでも、私は貴方にお供します」
一筋の涙は、笑顔に変わっていた。
2人が後に専務と専務補佐になる日も、そう遠くはなかった_。
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みみみみみ(プロフ) - 結菜さん» ありがとうございます😭めちゃめちゃ嬉しいです!実は丁度最強組にハマって呪術のお話し書きたいな〜と思っていたので作成しました!そちらも読んでくださると嬉しいです! (2023年1月14日 19時) (レス) id: 8759106b01 (このIDを非表示/違反報告)
結菜 - めちゃくちゃおもしろくて、とても幸せで、私好みのお話でした。次は、五条先生のお話をかいてくれたら嬉しいです! (2023年1月14日 11時) (レス) @page37 id: 19761245cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みみみみみ | 作成日時:2022年9月20日 22時