◆ ページ10
「コットさん…いるんですよね」
痛む足で、私は屋上に出た。
しんと静まり返る朝の兵舎に、耳を澄ます。いつ立体起動で仕掛けてくるか分からない。
「お話を…させてください」
呼び掛けるも、返事がない。
…仕方無い。ここまでは予想通りだ。
きっとコットさんは私を確実に殺すために、私の隙を突いてくるはず。その時まで慎重に待つだろう。頭脳派のコットさんの事だ。
何分待っただろうか。一瞬でもあり、長くもあったがついにそのときは来た。
私の背後からガスの噴出音と、引き金に手を掛ける音が聞こえてくる。
私は怪我をしてない方の足を軸にして身体を反転させ、懐にしまっていた小型拳銃を素早く取り出す。
1発は、コットさんが持ってる銃の本体に当てて、彼から銃を奪う。
これは的が大きいから簡単だった。私の銃を見て驚いてるコットさんの手から、そのまま銃がこぼれ落ちておく。
後1発は、_ワイヤー。
さすがの私も手が震えた。これを失敗させれば危険に陥る。私の1発に全てがかかってる。
そして私は見事、立体起動装置の細いワイヤーに弾を打ち込み、分断させることに成功した。
身体が不安定になったコットさんを、死角に隠れて立体起動をつけていた兵士たちが支えに行く。
私はへなへなとその場に座り込んだ。
コット「離してください!あいつは、俺が殺さなきゃいけないんです!」
兵士に押さえられながら喚くコットさんの目から、一粒の涙が溢れ落ちた。
デノン「おいどうしたんだよコット!お前、団長にまで銃口を向けるとか…!」
「コットさ…っ!」
コットさんの元まで歩こうとすると、さすがに限界が来たのか、足から崩れ落ちる。太ももがどくどくと脈打って、血が垂れていた。
リヴァイ「無理するからだ…!どっちにしろ、今お前がコットと接触をするのは危ない。部屋に戻って休んでろ。…ハンジ!Aの手当てを頼む」
ハンジ「あぁ了解だ!そっちこそ、コットは頼んだよ。あんたの班員なんだからね」
ハンジさんが立体起動で私の元へ来て、また新たな布でさらに止血をし出した。
ハンジ「部屋に戻ったら早く縫わないと。無茶な選択ではあったが…冷静で正確な判断だった。君のおかげで我々はコットとちゃんと話せるし、エルヴィンの命も繋ぎ止められた。
…ありがとうA」
「いえ、私が撒いた種なので、当然です」
言い切った後、視界が滲む。見ている世界が回るように歪んでいって、そのまま意識が遠退き、やがて__暗転した。
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作者名:みみみみみ | 作成日時:2022年9月29日 19時