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さすがに気づくのが遅すぎたか、あるいは相手の動きが早すぎたのか。何にしろ太ももに弾が当たった事は確かだ。
痛い…。でも私が命を奪ってきた者の痛みは、こんなものではなかったはずだ。
ハンジ「待って、今止血を…」
ミケ「硝子で怪我はしていないか!」
私は駆け寄ってこようとする皆を、「来ないで!」と制す。
「コットさんが、…まだいるはずです」
あの時、一瞬だったが明らかにコットさんだった。立体起動装置をつけ、銃をエルヴィンさんに撃った。
何故?狙いは私のはずでは…。もしや、兵団に率いれたエルヴィンさんまで恨んでいるということなのだろうか。だとしたら、私サイドについてるリヴァイさんやハンジさん、デノンさんだって、コットさんはどうするか分からない。
エルヴィン「A…すまない、助かった」
「いえ…突き飛ばしてしまい、すみませんでした」
足が、撃たれたところがどくどくと脈打っている。
ハンジさんはその様子を見て、タオルで止血を始めた。
リヴァイ「…Aを殺すためなら、団長の命すら犠牲にしてもいいっていうわけか、あいつは」
デノン「…それに、兵舎での立体起動の使用は認められていません。…立派な兵役違反だ。あいつは、昔から規則に厳しくてそんなことをするような奴じゃありません…!」
リヴァイ「…知ってる。だが、話をする気がねぇって言うんなら無理やりでも止めるしかねぇだろ…」
リヴァイさんは険しい表情で言った。
リヴァイ「立体起動の準備をする。ミケ、お前も来い。…いいな、エルヴィン」
「待ってください!!」
今にも部屋から飛び出していきそうな様子のリヴァイさんに声をかける。もうこれ以上、皆に…私を救ってくれた人達に迷惑はかけられない。
「元は私のせいなんです。私が、汚い生き方をしてきたから…。だからコットさんは、私が止めます」
私はハンジさんが止血のために必死に太ももに押さえてくれてる布を強引に剥ぎ取り、きつく足に結び付けた。白い布に、赤が染まる。
ハンジ「それは無茶だ!その怪我で動けば、失血でどうなるか分からない!」
「…こんなに思い切り当たったのは初めてですが、私だってある程度の危機くらいこれまでもありました。どうってことありません。…何より、いつまたコットさんが撃ってくるか…」
ハンジさんが私を止めようと口を開いたとき、リヴァイさんが私の横に跪いて聞いた。
リヴァイ「なにか、考えがあると?」
私は小さく頷いた。
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作者名:みみみみみ | 作成日時:2022年9月29日 19時