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団長室の空気は重々しかった。
中にはハンジさんやリヴァイさんだけでなく、ミケさんとナナバさんもいた。
皆私達を見て、目を見張る。おそらく犯人だと考えていたデノンさんが私を連れてきたこと、そして私の姿を見て、何と声をかければよいか分からないという戸惑いを感じた。
デノン「…エルヴィン団長、あの文書を置いた奴に心当たりがあります。
…おそらく疑われているであろう俺の身の潔白を証明するため…ともとられるかもしれませんが…、
食堂で混乱を招いている様子を、入り口からにやにやと眺めてる奴を見ました」
ハンジ「それは、誰だい…?」
ハンジさんが恐る恐るといった様子で慎重に聞くと、デノンさんは唇を噛んでから言った。
デノン「同じ班の、コット・ルナソルです」
そう言うデノンさんの顔には悔しさや後悔の色が浮かんでいた。
デノン「コットに、Aは”地下街の悪魔”なんじゃないかという話をしたのは俺です。混乱を招く結果となり…申し訳ありません」
デノンさんは目をつぶり、頭を下げる。
私は目を見開いた。何で。どうして。デノンさんは、いやむしろコットさんだって悪くない。悪いのは私がしてきた行いだ。弱い過去の私だ。
今だって…こうして大人に守られるばかりで、どうすることも出来ずにいる無力な私だ。
しばし、沈黙が続く。
破ったのはハンジさんだった。
ハンジ「だとしても、…Aが”地下街の悪魔”だということに勘づいただけで『駆逐するべき』だなんて書くほどじゃあないと思うんだが…しかも、壁外の次の日にわざわざ」
エルヴィン「ハンジの言う通りだ。ハンジから聞いた文書の内容からは、明らかな憎悪の念が感じられた。…Aに何かしらの恨みがあるはずだ。例えば…コットも、Aに誰かを殺されたとかな」
「…!」
まさか、コットさんも?
しかしルナソルという人物に覚えは無かった。私は今まで殺した人の顔は覚えている_というか、嫌でも染み付いてしまうものだ。忘れるなんてあり得ない。
その時、エルヴィンさんの背後_窓の外から、何やら黒い小さな影が素早く動いた。
「…!エルヴィンさん!!」
ひどく身に覚えのある音が、窓の外から聞こえて私は咄嗟にエルヴィンさんを突き飛ばした。
遅れて、窓ガラスが割れる音と発砲音、そして太ももに焼けるような痛みが襲ってくる。
辺りに、私のものと思われる赤い液体が広がる。
リヴァイ「おい、…A!」
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作者名:みみみみみ | 作成日時:2022年9月29日 19時