懇親会 ページ36
ハンジ「あぁきついきつい！まだ締めるのかい！？」
「少しだけ我慢しててください！後少しです！」
ハンジさんのドレスの紐を締めながら結ぶと、目の前でハンジさんが聞いたこともない呻き声を出す。
「終わりました」
ドレスの着付けなど、したのはいつ以来だろうか。必要だからと何度も教え込まれ、大抵のドレスは人のも自分のも気付けを出来るようになった。
ハンジ「こんなに締め付けられるものなのか…、こんなものを定期的に着ていたとは、尊敬するよ」
「私も、慣れるまでは苦しかったです。というか私も久しぶりに着るので苦しいかもしれませんね」
ハンジさんの着付けが終わったので自分も着替えようと、今日着るドレスを手に取る。青色のボリュームのある着るのが面倒そうなドレスだった。
ハンジ「それ、ひとりで着れるかい？」
「すみませんハンジさん、ここ持っててもらってもいいですか？」
ハンジさんに所々手伝ってもらいながら何とか着終わり、鏡の前に立つ。
「……懐かしい」
しかし昔のような気品や貴族らしい振る舞いは全くなく、情けない自分のオーラに落胆した。こうも時というのは残酷なものなのだろうか。
肩を落としていると、ノックが3回続いたあと、エルヴィンさんの声が聞こえる。
エルヴィン「馬車の用意が出来た。着替え終えたらすぐに入り口まで来てくれ」
ハンジ「あぁ、もう行けるよ。A、行こうか」
その言葉に頷き外に出ると、私達と同様に着飾ったエルヴィンさんとリヴァイさんが立っていた。その貴族顔負けなオーラに圧倒される。元々端正な顔立ちの2人だから余計に威圧感が増していた。
ハンジ「なるべく早く終わるといいなぁ、今夜は調べたい事があるんだ」
リヴァイ「憲兵の奴らの話しさえ短ければすぐ終わるんじゃねぇのか」
他愛もない話をして馬車に揺られること1時間。
私達は王都に到着した。
招待状を提示して中に入れば、中には着飾った貴婦人達と兵士達。所々見受けられる見知った顔の兵士にほっとする。
時間になるといくつかの燭台が消され、幻想的な雰囲気の中、フリッツ王自らが台の上で挨拶を始めた。
フリッツ「諸君。今回は集まってくれて誠に光栄である。ウォール・マリアが突破された今こそ、我々で一致団結となるために親睦を深めるべきじゃ＿」
長ったらしい挨拶が終わり、陽気な音楽がかかり始め、辺りが騒がしくなってきた。
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作者名：みみみみみ | 作成日時：2022年9月29日 19時
