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コット「でも何なんだよお前は…ただ人を殺した経験があるだけで、団長や、兵長。ハンジさんやミケ分隊長、ナナバさん、…デノン、お前まで。皆お前の方につきやがった。ついかっとして…団長の首を跳ねようとした。
…捕らえられてここに入って…お前の過去を聞いた」

ハッとしてハンジさんの方を見ると、ばつの悪そうな顔をして目をそらされた。

コット「分かるよ、同情されるのは1番辛いことだからな。…俺は君に同情してる訳じゃない。ただ_気づいたんだ。
俺にとっては君が悪人だった。でも君にとっては、君が支配されてた奴らもそうだし、せっかく始まった普通の生活で急に殺そうとしてくる俺も、悪人なんだって」

酷く悲しく響くその声に、目を見開く。

「違います!コットさんは間違っていません。私はあなたの婚約者を殺した、張本人です…どんな罰でも受けるつもりでここに来ました。それに…私も、気がついたんです。
ここに来たら私は”人類のため”と言って過去の私を無かったことに出来ると、そう思い込んでいました。その過去を払拭出来ると…。
コットさんと、同じです」

そう言うと、コットさんは目を見開いて呼吸を荒くし、牢屋の鉄格子に手を掛けて揺さぶった。
がしゃんがしゃんと鉄の音が響く。

リヴァイ「A!」

リヴァイさんが私の椅子を牢屋から遠ざける。

コット「お前が、人を殺すのが楽しいとか言って笑ってくれれば、俺はお前を殺すのに躊躇ったりすることなく殺せたのに…!!何で、どうして_心からの悪人じゃないんだよ、どうして…」

泣き叫ぶその声は、しばらく廊下に反響していた。



リヴァイ「…デノン、Aを頼んだ。俺はエルヴィンとハンジと今後のことについて相談することがある」

コットさんの牢屋から離れると、リヴァイさんはそういってハンジさん達の元へ行ってしまった。
私と、私の車イスを押すデノンさんで廊下を進む。

「…デノンさんも、聞いたんですか。私の過去」

デノン「…あぁ、聞いた。だからと言ってお前のことを許した訳じゃない」

「…はい、それでいいです」

靴音と、車イスが軋む音。しばらくそれだけが続いた後に再びデノンさんが口を開く。

デノン「ただ勘違いするなよ。…お前を入団させるということにも、この班に入ることも俺は…賛成する」

「…!なんで…」

デノン「…ほんと、お前がただの悪人なら
_もっと簡単な話しだったのにな」

世界は、残酷で複雑なんだよ。
デノンさんがぽつりと言った。

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作者名:みみみみみ | 作成日時:2022年9月29日 19時

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