悪人 ページ11
1人で、ナイフと銃を持って立つ。
大抵、相手は恐れるか、私に対して殺意を向けて、向こうも私を殺そうとしてくる。
吐くセリフは、皆同じ。
”お前が…地下街の悪魔か!”
そうして私を汚いものを見るような目で見てくる。
そこに銃弾をひとつ当てると、目から光が消えて、倒れて、やがて呼吸が止まる。
…あぁ、何をしてるんだろう。
『お前なんて殺してやる!』
『地獄に落ちろ』
私はハッとする。
殺した人達が私を囲んで、一斉に罵声を浴びせてくる。耳を塞いでしゃがみこむも、その声は脳にまでしっかりと届く。
『お前は俺らの支配から逃れられない』
その声に、顔をあげる。
目の前には私を操っていた彼奴らが、にやにやと気持ちの悪い笑みを浮かべて立っていた。
嫌。止めて、もう嫌だ。楽になりたい。こんなんなら死んだ方がましだ。
私は必死に自身の身を守るように丸まった。
…怖い。怖い。
誰か、____助けて。
その瞬間、私の頬に温かな手が触れた。
優しくて、温かくて、覚えのある手。
私はゆっくりと丸まっていた身体を解き、顔をあげる。
・
(リヴァイside)
Aの頬に手をそっと添えると、Aの目蓋がぴくりと痙攣した。
リヴァイ「…!A…?」
そのままゆっくりとAの目蓋が上がっていく。
コットを捕らAが気を失ってから約2時間。ハンジやエルヴィンたちは兵役違反をしたコットを地下牢に入れ事情聴取を、俺はAの様子をこうして隣で見ていた。
「リヴァイさん、」
やがて瞳がしっかりと俺を捕え、か細い声で言葉を発する。
「コットさんは…」
Aはハッとした表情をして、急いでベッドから起き上がろうとしたので、その細い肩を掴んで制する。
リヴァイ「今起き上がったら傷口が開くだろうが。コットはハンジ達が今事情聴取をしてるところだ」
「私もその場に行きます…!」
リヴァイ「馬鹿か。コットは今牢屋に入ってるとはいえ、その身体でまた襲いかかられたら今度こそどうなるか分からねぇぞ」
Aは俺の言葉に一瞬言葉を詰まらせたが、すぐに強い意思を孕んだ瞳で、力強く言った。
「いいです。そうだとしても、それも私が背負うべき罪ですから。お願いです。何があったのか、…知らないのは嫌なんです」
そうあまりにも力強く言うAの手は、しかし震えていることに気がついた。
リヴァイ「チッ…危険だと判断したらすぐに引く。分かったな」
Aは静かに、重々しく頷いた。
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作者名:みみみみみ | 作成日時:2022年9月29日 19時