第１３話 ページ14
気が付くと日が暮れていて、そろそろ解散しようと切り出すと、家まで送ると言ってくれた。
えおえおくんは定期を持ってないし悪いからいいと言ったけど、それでは気が済まないらしい。
こういうところもモテる要因なんだろう。
どうしても、と言うのでここはお言葉に甘えてみることにした。
帰り道はお互いの好きなミュージシャンや食べ物の話をしていた。
なんだかえおえおくんといるとあっという間に時間が過ぎるようで、家の近所まで着くのはすぐだった。
「そこの角曲がったら着くから、ここでいいよ。ありがとうわざわざ送ってくれて」
「どういたしまして。今日はありがと、楽しかった」
「うん、私も」
少しの間、沈黙が流れた。
私もえおえおくんも、口を開かない。
(なにか、話すこと・・・)
強めの風が吹いて、体が震える。
五月といっても夜はとても寒い。
「風邪引いちゃうし、早く帰ってあったまって。それにお腹すいたでしょ？」
えおえおくんの背中を押して、帰るよう催促する。
けれど彼はその場から動こうとしなかった。
「どうしたの？」
「・・・・・・」
暗くてあまり分からないけど、真剣な顔をしているように思えた。
「えお・・・」
声をかけようとすると、遮るように手を取られた。
驚いて体が強ばる。
ふたりの体温が溶けて混ざって、じんわりと温かくなっていく。
その熱が全身に広がり、顔に集中していくのがわかった。
「ど、したの、」
「おれさ」
ゆっくりと瞬きをする瞼から、目を離せない。
手を握る力が強くなって、すぅ、と息を吸い込む音が聞こえた。
「花園さんのことが、すき、です」
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作者名：mimico | 作成日時：2017年12月27日 3時
