突然の襲来 ページ4
「遅れてごめ痛い痛い痛い」
あれから盛大に遅刻して公園に着き、子どもたちに遅い遅いと言われつついつもの定位置――公園の敷地にぽつんと置かれた切り株辺りに来た。
今は僕の適当な挨拶に怒ったらしい子どもたちに、無い腕力でぽかぽかと殴られているところだ。
中には《描いたものを具現化する能力》で落書き帳から出した木刀で殴りかかってくる子もいて、だいぶ痛い。
痛い痛いと言いながら僕は、鞄から人形(今回はぬいぐるみ)を取り出して地面に置き、切り株の上に立って《能力》を発動する。
「人形よ、動け!」
するとぬいぐるみたちが動き出し、人間の言葉を話し出す。
僕が事前に彼らに教え込んでおいた通りに、物語が展開していくのである。
因みに語り部は僕。
語りを含めたすべての作業を人形たちにまかせては、つまらないからだ。
最近は、自分の能力によって動く人形たちを見て目を輝かす純粋な子どもたちの様子を見るのが、僕の楽しみ。
今も、語り部をしながら、"子どもの笑顔っていいなぁ"と頬を綻ばせていた。
……だが、ある子が発した一言から、この楽しい時間は翳りを帯び始めることになる。
「ねえらくちゃん、あれなにー?」
そう言って女の子が指差すほうを見ると、そこには、空に浮かぶ色とりどりの物体。
「何だ、あれ」
目を凝らしてよく見ると、それは。
「……風船?」
そう、ごくふつうの、風船だった。
ただ、その風船の持ち手に"何か"がぶら下がっていることを除いて。
決して視力のよくない僕には、その"何か"が何なのか、距離的によく見えない。
しかし、そうして空を眺めている間に、風船にぶら下がっていた"もの"は、地上に降り立とうとしていた。
そして、そいつの足が地についた瞬間、
バァァァアアンッ!!
けたたましい爆発音が辺りに響き、公園内は混乱に包まれた――。
*
「はいはーい、ラパンでぇーす!よい子のみんなに爆風爆音おすそわけっ!!」
元気な声を上げながら風船を爆破させていく、得体の知れない能力者。
外見は遊園地の風船配りのようにカラフルで子ども受けしそうだが、実際は子どもを泣かせるような最低な奴だ。
目の前の子どもたちが泣いている光景に、僕の心には沸々と怒りが込み上げていた。
でも、"人形を操るだけ"の僕の能力では何もできないと、諦めていた。
――その時だった。
「全く……街の平穏を乱すなどという行為、私たちが見過ごすと思います?」
そんな声と共に、時が止まったのは。
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鴉莉朱(プロフ) - 編集画面の各お話タイトルのところのスパナのマークを開くとルビという機能があって、テキストという所に漢字、ルビという所にひらがな(読み)を入れると出るかと思います! (2017年4月13日 21時) (レス) id: ade0bf0099 (このIDを非表示/違反報告)
Акычо (あきほ)(プロフ) - あと、質問なのですが、漢字の上の小さなひらがな、どうやって出して居るんですか? (2017年4月13日 20時) (レス) id: 84ab421957 (このIDを非表示/違反報告)
Акычо (あきほ)(プロフ) - はい!頑張ってください! (2017年4月13日 20時) (レス) id: 84ab421957 (このIDを非表示/違反報告)
鴉莉朱(プロフ) - Акычо (あきほ)さん» ご意見ありがとうございます。これから少しずつそういったところも修正して伸ばしていけるように頑張ってみます。 (2017年4月13日 5時) (レス) id: ade0bf0099 (このIDを非表示/違反報告)
Акычо (あきほ)(プロフ) - 情景がよくわかりません。回りの風景の説明などを、皆が想像できる程度に説明したら、もっともっと面白い作品になるとではないかと思いました。これからも、頑張ってください。 (2017年4月12日 22時) (レス) id: 9a5e5744b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鴉莉朱 | 作成日時:2017年4月6日 20時