7.入隊 ページ7
「近藤さん!」
「おう! どうしたんだ?」
「ここで働かせてください!!」
「まじで!? もちろん大歓迎だ!!」
「まじかよ!!?」
まさかこんなにもあっさり通るとは。
意地悪男は募集してないとかほざいてたけど、やっぱり人手はあるに越したことはないよね。
私も親の店が忙しい時、接客業に慣れるためという名目で、半強制的にこき使われたことがあった。
バイトのバカップルは裏でキャッキャウフフなことをしてたのに! ずるいぞ私も混ぜろ。
案の定、その日の晩は私が怒鳴り込んで親子喧嘩一直線。
まったく、今思い出しても腹立たしい。
……そんな事で怒ってても、もう親には文句の一つも言えないのにね。
「──い、おーい、きみ大丈夫?」
「……ぁ、すんません。感激のあまり意識が飛んでました」
「そうかそうか。意識が飛んでただけか。
なら良かった!」
「良くねェよ」
ハッハッハと陽気な笑い声を上げる近藤さんを見て、意地悪男は呆れた様子だ。
なんだかこの二人、立場の違いはあれど仲が良さそう。
私も早く馴染めるといいなあ。
「そういやあ自己紹介がまだだったな。
俺は近藤勲。そんでこっちは──」
「土方十四郎だ」
「近藤さんに土方さんですね。私はAAといいます」
その後、近藤さんによって中まで案内してもらい、私の仕事内容を教えてもらった。
まあ一言で言うなら雑用だ。
部屋の掃除や洗濯、あとは傷の手当てが主である。
不満がないわけではないが、女だし仕方ないかもしれない。
とにかく、寝床と仕事が確保できただけでも充分満足すべきだろう。
こんなにことが上手くいくとは思わなかったし。
これも万事屋のおかげだよね。生活が落ち着いたらお礼を言いに行こう。
そう密かに誓ったのだった。
92人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ミルティ. | 作成日時:2018年12月8日 22時