5.真選組 ページ5
「私、これからどうすればいいと思います?」
行くあてがないんです、としょげて話す。
そう、問題はそこだ。
部屋を見渡す限り、登校時に持っていた荷物はありそうにない。
服だってあの時のままだ。
血や泥汚れなんかは綺麗さっぱりなくなっているが、着物が普段着のこの世界では浮きすぎる。
……うん、割と本気でやばい状況だわ。
「うちに住まわせてやりたいのは山々だが、生憎家計は火の車。自分達のことで精一杯だ」
「……そう、ですよね」
その言葉を聞いて、胸の底から絶望感が込み上げてくる。
もしかしたら坂田さんなら、なんて期待していたのである。
なんて自分勝手で都合がいいのだろう。
昔から自分のそういうところは大嫌いだった。
「……そう分かりやすく落ち込むんじゃねえよ。
心当たりがないわけじゃねぇんだ」
「……え?」
「だがあいつらん所は色々と問題がなぁ……
おすすめはできねぇよ?」
「もうこの際何でもいいです!
教えてください! お願いします!」
「あー、そう? 後から文句言われても俺責任はとんないからね」
坂田さんが教えてくれた場所は、『真選組』という組織だった。
新撰組なら歴史で習ったけれど、どうやら字が違うらしい。
そして坂田さん曰く、頭のイカれた変人しかいないらしい。更にはゴリラが出没するとか。
そんな不安を煽るようなことを言われて、私の心配は募るばかり。
これから上手くやっていけるのかな……。
──いや、弱気になっては駄目だ。
自分が生きるために、体を張ってでも上手くやらなくては!
「たのもー!!」
坂田さんに教えて貰った道を辿り、やっとそれらしいものを発見した。
固く閉じられた門をグーでバンバン叩き、とにかく中の人を呼ぶ。
通りかかった付近の住民から生ぬるい視線を感じるが、ここで屈してはいけない。
ここでウロウロして隊員を待っていても、不審者扱いされて通報されてしまうかもしれない。
そんなことされたら、真選組の方々との初の顔合わせで印象が悪くなってしまうではないか。
最初の体の張り所はここなのだ。
「たーのーもォォ!!」
「るっせェ!!!」
「ひっ!?」
瞬間、門が荒々しく開かれる。
煙草を咥えた男の足によって。
「なんの真似だテメェ! 何しに来やがった!」
「か、体を売りに来ました!!」
「……はァァ!?」
……あ、言い方間違えた。
しまったなぁ。
しょっぱなからやらかしてしまった。
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作者名:ミルティ. | 作成日時:2018年12月8日 22時