第五話�� ページ13
舜太「あかん…全然見つからへん…。この森意外と広いなぁ…」
太智「もう…、歩けない…」
舜太「はよせんと…、日没までもうちょっとやのに…」
空は茜色。
太陽はオレンジの光を放って、地平線の向こうへ沈もうとしている。
仁人「いや、おかしい…」
太智「そうだよな。これだけ探していないなんておかしいよ！あいつこの森にはいないんじゃね？！」
仁人「違う！おかしいのはこの空だ！あれから15分以上は経っているはずなのに、なんでまだ夕暮れなんだ？」
茜色の空は、仁人たちが瑞生に会った時から何も変わっていない。
ずっと、夕暮れのままなのだ。
舜太「言われてみればそうやね…」
仁人「一体どういうことなんだ…？時間を止める能力か…？」
いつだったか、仁人は神が周囲の時間を止めていたのを思い出した。
しかし、森の木々からはひらひらと葉っぱが舞い落ちている。
あの時のように、周囲の何もかもが制止した状態というわけではなさそうだった。
舜太「でも、日没がずっと来ーへんねやったら、探したい放題やん？これって俺らにめっちゃ有利やない？」
仁人「それはどうかな…。どんな能力かは知らないが、これが瑞生の持つ勇者の力によるものだとすると、すでに私たちは瑞生の手中にいることになる…」
太智「それってつまり…」
仁人「能力の正体がわからなければ、このまま瑞生を見つけることはできないかもしれないな…」
瑞生「ご明察。でも安心して。僕はちゃんとこの森にいるよ？しかも君たちのすぐそばに」
すると、どこからともなく、瑞生の声だけが聞こえてきた。
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作者名：milkssss | 作成日時：2019年7月15日 20時
