第四話�� ページ12
舜太「えー？！なんでなん？！」
太智「ブーブー！」
仁人「何か理由があるのか？」
瑞生「…僕には、勇者の能力とは別に、この水晶玉で少し先の未来を見る力がある。この力で村をいくつもの危機から守ってきた」
瑞生は水晶玉を掲げた。
瑞生「ただでさえこの村には魔物がたくさん現れるんだ。僕がいなくなれば、この村はどうなってしまうかわからない…。魔王軍によって滅ぼされるかもしれない…。そんなのは嫌だ」
舜太「そりゃ、嫌やんなぁ…」
太智「うーん…」
瑞生「…だから、そう簡単にこの村を離れるわけにはいかない」
仁人「そうか。瑞生の言い分は承知した。しかし、君がいなければ、君の村だけでなく、全ての人間が魔王によって滅ぼされてしまうかもしれないんだ」
瑞生「わかっているよ…。だから、今からやるゲームにもしも君たちが勝てば、一緒について行ってあげるよ」
仁人「そのゲームに私たちが負けたら…？」
瑞生「そうだね…。君たちはこの森から一生出られなくなる」
太智「やだよー！！！」
仁人「…」
舜太「で、そのゲームって何やるん？」
瑞生「今から隠れる僕を君たちが見つける。簡単でしょ？」
太智「そんなのでいいの？！楽勝じゃん！」
舜太「かくれんぼってわけやな！」
瑞生「制限時間は日没まで。場所はこの森全体でどうかな？」
仁人「日没か…。あと15分ってところだな…」
すでに太陽は地平線の真上に迫っていた。
太智「瑞生には悪いけど、すぐ見つけてやるぜ！」
舜太「じゃあ太智君より先に見つけて、瑞生君と一緒にお菓子食べよっと」
仁人「そんなに、甘くないかもな…」
瑞生「そうだね。僕はそんなに甘くない。じゃあ行くよ？」
そういうと瑞生の持っていた水晶玉が光り輝き、3人はあまりのまぶしさに目を覆った。
―
3人が目を開けるころには、瑞生の姿はどこにもない。
ただ夕暮れの森が広がるばかり。
太智「っしゃああ！！見つけるぜええ！！！」
舜太「木が邪魔やな。燃やす？」
仁人「待て待て！それはダメだ！」
太智「でも日没までだろ？！もう時間ないよ！」
仁人「…とにかく、そう遠くへは行ってないはずだ！手分けして探そう！」
舜太「ほいさ！」
太智「っしゃあああ！！！」
かくして勇者3人は、新たな勇者「瑞生」を仲間にするべく、彼を探し始めるのだった―。
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作者名：milkssss | 作成日時：2019年7月15日 20時
