愛情 ページ42
「はぁー、やっと清々しい気分になれたよー！！」
目覚めてから三日目。
私の怪我は意識がない間に治っていて健康体だったのに、医者がしつこく寝てろって言うからずっとベッド生活だった。
今、私はあの日の丘にいる、我愛羅と。
「体は訛ってないようだな」
「うん！もう明日から働くから！」
謹慎期間は寝ているうちからカウントされていたらしく、今日でちょうど終わりだったらしい。
「それでね、我愛羅、
.....今日、もう一つの約束を果たさなきゃね」
空気は澄み渡っている。淀みは遥か彼方へ。
「.....あぁ」
「私はね、親の顔を知らない。
そもそも、私は何から生まれたのかなーってレベルで。
.....生きるために、一人で生きる術を獲得してきた」
裏街に住み着き、『力』を与えられ、それを狙う輩を追い払う体術を身につけた。
「はっきり言って、愛だの何だの叫ぶ人のことなんか、どうでもいいし、興味もなかった。
所詮消えてなくなるもの、儚いものなのに、どうしてそんなに欲しがるのか」
我愛羅も、この気持ちはよくわかってくれると思う。
かつて、そうであったから。
「.....そんな時に、我愛羅と会って。
初めてだったよ、守りたいって思ったのは
そして、裏街炎上が起きて.....。
砂を去って、我愛羅から離れなきといけない時に、また初めてのことが起きた。
.....誰かのそばにいること────それを失うことが、どれだけ恐ろしいか」
誰かのそばにいたい。
簡単なことで、難しいことであること。
「数年たって、やっと会えて。
君は影になっていて、驚いたよ。
私が守らなくてもいい存在になったってこと。
逆に、私は守られる存在になったってこと」
自分でも気づくのは時間がかかったけど、
私は、我愛羅に守られていた。
「大戦があって、私は大変なことになって.....。
────目覚めた時、一番に思い出したのは我愛羅だった」
大切な人がいっぱいいる中で、
我愛羅のことが一番に浮かんだ。
「我愛羅、私は君が好き。大好きだよ。
私は、我愛羅の愛が欲しい。
私を、愛してくれる？」
最後まで言い切らないうちに、我愛羅に包まれる。
我愛羅の香りが鼻腔をくすぐった。私の好きな香りだ。
「A、俺も、お前の愛が欲しい」
「へへ、いくらでもあげるよ」
「Aが俺を愛するように、俺もAを愛そう」
あの頃は、お互いにわからなかった『愛』が
今は私たちを強く繋いでいる。
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作者名：MiUmIu | 作成日時：2018年7月22日 18時
