帰宅 ページ14
ガチャリ、と
聞き慣れた音をたて、玄関の扉を開けた。
「おかえりなさいませ、Aさん」
「たっだいまー」
共用のリビングに入ると、テーブルには書類の山が二つ、その間からソラが見えた。
「うわっ、何コレ.....」
「直に、Aさんにも回しますから」
「最悪だー.....どれだけあるのコレ.....」
ソラの向かいに座る。端正な顔立ちのソラは書類とにらめっこをしながら手を動かしていた。
「.....たぶん、もうすぐですよ」
「え？」
暫くの沈黙の後、ソラがそれを破るようにして呟いた。
「戦争です」
「.....あぁ、それか」
ソラも、感じ取っていたのか。
表の街に広がる、邪悪な雰囲気。さっきの会談中にも漂っていた。
「聞くと、暁により表の里は甚大な被害を受けているようです」
ソラが一枚の書類を私に差し出す。
砂、霧、岩、雲、そして木の葉。
各里が暁によって傷つけられたことが記されていた。
そして、近く鉄の国で五影会談が予定されていることも。
「五影、か」
我愛羅も向かうのだろう。他の影と同様に鉄の国へ。
.....影が、里を離れるってこと。
「まぁ戦争が起こるというのは私の勝手な予想ですが」
ソラの予想は高い確率で当たる。悪い時には更に。
「裏街は巻き込まれないと思いますが、早めに対策を打っておきましょう」
「そうだねぇ.....」
早めの対策を。
それは、私にも当てはまる。
「それと、Aさんは早く昨日の分の仕事も終わらせてください」
「.....い、いえっさー」
ソラの厳しい言葉が胸に刺さる。
.....やっぱり、仕事は早く終わらせた方がいい。
後々地獄を見るからね.....。
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作者名：MiUmIu | 作成日時：2018年7月22日 18時
