第七話 ページ7
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私がクアルスに近づくと、クアルスは素早く椅子から立ち上がり、一礼した。
黒いローブを深く被っていて顔の表情は読み取れない。
「何かあったのか？」
「はい。実は、水晶玉で地上の様子を見ていたんですが、神殿跡地の方で不穏な動きを見まして」
「不穏な動き？」
「はい。顔はよくわかりませんでしたが、黒衣に身を包んだ人間と、堕天使のようでした」
まさかと思った。堕天使とは、先刻、書斎に来たウーファスではないだろうな。
「どんな堕天使だった？」
「雨で視界がぼやけていたので、定かではありませんが。ブロンドの髪と、黒い羽、そして光輪が見えました」
ブロンドの髪……。
「今、それを見ることは出来るか？」
「見ますか？」
「お願いしたい」
「分かりました」
クアルスは椅子に座り直し、水晶玉を撫でると、地上の光景が見えるようになった。
水晶玉に映るのは、確かに雨で視界はぼやけているが、案の定。
明らかにそこにいるのは、ウーファスだった。
「ウーファス……」
「ご存じですか？」
「ああ、私の旧知の仲だが、先刻の騒動で来た蛇もこいつだ」
騒動の蛇、と聞いてクアルスはぎょっとした顔をした。そして水晶玉に映るウーファスを見て、ため息を吐いた。
「な……なん、ですと」
「蛇！？ へ、蛇なんですかこの堕天使！」
「ああ。赤い蛇、聞いたことはあるだろう？」
「聞いたことあります！ アダムとハワを
「さすがだなノークニック、その通りだ」
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作者名：赤間 | 作者ホームページ：
作成日時：2020年5月18日 17時
