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第五話 ページ5
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しぃ、と口元に人差し指を当てた。
「我が名はサマエル、汝の力になろう」
「さ、サマエル様だって ！？」
サマエルと名乗る男は祈りを捧げていた男の反応を見て、嬉しそうに口角をあげた。
男は態勢を直し、サマエルに向かってまた手を組んだ。
「ああ、美しい天使よ。天の思し召しをお与え下さい」
サマエルは跪き、男の頬に手を添えた。
「私を信じよ人間。神のご加護のあらんことを、私が必ずや導いて差し上げよう。」
そう言うと、サマエルはローブを脱ぎ捨てた。
それまで隠していた漆黒の翼と未だ消えない光輪を露わにした。
その姿を見た男はひぃ、と怖気づいた。
「て、天使様、では……」
「誰が天使だと名乗った？ 私はサマエルだ。それ以上でも以下でもない。だが人間、私はお前たちの敵ではない。安心しろ」
「で、ですが……」
「人間ごときが、私に逆らえるとでも？」
「ひっ」
口達者な男を睨みつけると、男は立ち上がり後退し、尻餅をついた。
「ふん。まあいいだろう、お前はどこの者だ？」
「わ、私はクルルッタ教の信徒でございます……」
「クルルッタ教だと？」
「は、はい……」
「……」
サマエルは男を見定めるかのように凝視すると、ふっ、と笑った。
「良いだろう。ならば司祭に伝えろ。明日、新月の夜に悪魔がやってくると」
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作者名：赤間 | 作者ホームページ：
作成日時：2020年5月18日 17時
