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『お使い?小烏が?』




「うむ、なんでも主が行って欲しいとの事よ。雛には出来るか?」



『……(フルフル)』



小烏は小烏丸の言伝で万屋に買い物に行って欲しいとの事だったが、それを断った
なぜなら自分は外の事に関しては無知だったからだ
恐ろしいものがあるのではないか、危ないものがいるのではないか
その想いが小烏の中にはあった



「ふむ…ならばよし!この父に任せよ」




_________
_____
__





『…なんで?』




「主に頼まれたら流石に断れないよ」




「兄者、呉々も!迷わないでくれ」



「分かってるよ、心配丸」




小烏の目の前にいたのは自分の本歌とその弟刀
なんでも主に頼まれたからだそうだ
きっと小烏丸が裏で手引きしたのだろう


「それじゃ、行こっか。小鳥」



『……小烏は小烏』



小烏は思った
自分が本歌の近くにいてはならない
また、斬られるかもしれない
また、恨みの篭もった目をこちらに向けるかもしれない
それが怖かった
あの目も、殺気もあの時の声も全て
髭切が手を繋いで歩こうも小烏は嫌がって手を振りほどいてしまう



『…(小烏丸様…酷い)』




「……」





二人の間には暫く沈黙が流れた
ふと、小烏が見たのは近くの道を走る短刀とその審神者の姿
楽しそうで、嬉しそうで兄弟のように見えた
自分もあんな頃があったらな…なんて、何を望んでいるのだろう



『…いいな』




心の中で言ったはずだった言葉はポロリと口から出てた
いいな、いいな
小烏もそうなりたかったな
分け隔てなく、彼らみたいにあんなに仲が良かったら、今頃自分は…



「小鳥〜、着いたよ〜」



目の前にあった万屋は大きく、他の本丸の刀剣や審神者がいた
御守りに団子、手伝い札に依頼札
しまいには鳩までいる
お菓子もあれば調味料だって


「おや、小烏かい?久しいねぇ、お使いかなにかかい?」



小烏に話しかけてきたのは他の本丸の髭切だった
こちらの本歌はどうやら自分の名前を間違えないでくれるらしい


「だめ〜!この小烏は僕の!他の僕のじゃないよ」



小烏を取られると思ったのか髭切は抱き着き、頬をふくらませ、自分のだと言い出す
相手方は「ありゃ、先客がいた」と言うと小烏の頭を撫でて自分の主の元へと行ってしまった
小烏はと言うと、硬直状態だった
自分を斬った存在が自分を助ける?
いやいや、そんなわけない
そう言い聞かせているため、固まったままなのだ

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中原三日月(プロフ) - 源氏兄弟と写しの心境がとてもよく分かり素敵なお話で考えさせられます。更新頑張ってください!応援してます! (2019年8月19日 17時) (レス) id: f8510eae2e (このIDを非表示/違反報告)
そると(プロフ) - とても素敵なお話で楽しく読ませて頂いてます!!髭切と暗めの話が好きな自分にどストライクの小説で更新されるたびにワクワクして読んでいます!これからも更新頑張ってください!! (2019年8月19日 17時) (レス) id: e0cbedd7f4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:自由陣 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/rekishilov1/  
作成日時:2019年3月25日 16時

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