2)光の花と最年少幹部 ページ3
倉庫が立ち並ぶ夜の港
一つの倉庫の前にいる男に近づく影
「っ!?」
口を塞ぎ、その体に針を刺す
男は失神し、その場に倒れ、動かなくなった
黒いフードを被った影は音もたてずに倉庫に入る
中には武装した集団
影は人数を確認し、コツンッと足音をたてて、現れる
突然現れた存在に反応が遅れる男達は、気がつけばその場に倒れていた
黒いフードを脱げば、ハニーブロンドの髪が月に照されて光る
すると、拍手が聞こえた
「お見事、素晴らしい手腕ですね」
「・・・・・・・・・・・・・・」
赤い瞳が黒い青年を映す
「命を奪わず、体の自由を針だけで奪う・・・その手際の良さでは、相手は自分に何が起きたのかも分からずにいるでしょうね・・・・夏目 Aさん」
「・・・あら、私の事をご存知だったのね・・・ポートマフィアの幹部さん・・・確か、太宰、だったかしらね」
包帯を巻いた青年に、薄紅の唇が笑みを描く
「何かご用?」
「うちのシマを荒らしている連中がいるって報告があったから見に来たんですよ、そしたら貴女がいた」
「そう、仕事を盗んでしまったわね」
「いえいえ、こんな連中に興味はありませんし、大した利益もなさそうなんで、お好きに」
太宰はAに近づく
「それより、うちに来ませんか?Aさん」
「はい?」
こてんっと首を傾げるA
「貴女程の実力があれば、すぐに幹部まで昇進出来るでしょう、それに貴女の異能・・・その身のこなしは、暗殺者だ」
光のない黒い瞳がAを映す
「さっきの針で、体の自由を奪うだけじゃない、命すらも容易に奪える・・・貴女はこちら側の才能をお持ちだ」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
Aは太宰の目を見つめ、クスリッと笑う
「お断りするわ」
耳につけていた通信機を操作する
「依頼終了、回収は任せるわ」
すぐに了承の返事が来た
「つれないなぁ・・・また会いに来ますね」
「ふふっ、早く行きなさい?軍警に捕まりたいなら別だけど」
「それじゃぁ、今日はこの辺で退散しますよ」
太宰は倉庫を出ていった
残されたAは楽しそうに笑う
「・・・・〔太宰 治〕・・・最年少幹部・・・ねぇ・・・・」
上の方にある窓から見える月を見上げる
「・・・・・・・・さぁ・・・どうしましょうか・・・・・」
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作者名:水琴 | 作成日時:2019年4月16日 7時