14）黒の時代�� ページ16
咄嗟に後ろに飛び退けば、天井から落ちてくる氷の刃。
改めてAに目を向ける。
ハニーブロンドだった髪は白銀に、色白の肌は真っ白に、吐く息すら白くなる。
「貴君は、！」
「質問なら後で受けてあげるわ、【氷の嵐】」
冷気が渦を巻き、襲いかかる。
Aに向かって何発か撃ち込むが、彼女に当たる、辿り着く前に、全ての弾丸が凍りつく。
「(なんだ、何なんだこれは！？)」
「私の冷気は全てを凍てつかせる・・・人も、自然も、世界も、爆風すらも凍りつかせるの」
数秒先の未来を見ても、対処法が浮かばない。
「(これ程の力を持つ者がいたのか)」
瓦礫に置かれた砂時計の砂が全て落ちる
それと同時にAは異能を解除。元の姿に戻った。
「・・・・私の勝ち？」
「・・・あぁ・・・・そうだな、乃公の敗けだ」
その言葉に笑みを浮かべ、膝つくA
「おい、大丈夫か」
「あら、心配してくれるの？己の望みを断ち切る私の」
「・・・殺される為に、ここに来た我々に、貴君は何を望む？」
「・・・・・・・」
赤い瞳を伏せ、部下を思い浮かべる。
「私は彼の優しさに救われたわ・・・飾らない彼が好き・・・だから夢を叶えて欲しい・・・だから彼をこの世界から追い出した・・・代わりに来た私が、貴方達を殺してしまったら、後悔するかもしれないでしょう？」
「優しいのだな・・・貴君は・・・」
「貴方達は大戦に負けたかもしれない、だけど、家族にとっては貴方達は英雄だったはず。私はそんな貴方達の誇りを守りたい」
すっと差し出される手。
「私が、貴方達の生きる意味を、あげるわ」
だから
「一緒に行きましょう？」
「・・・・乃公は負けたんだ・・・貴君の好きにするといい」
ジイドは、その手を握った。
「・・・・・・っ・・・・」
クラっと揺れる体。
「あぁ・・・くそ・・・まだ五分も駄目か・・・っ」
「おい！？」
ジイドは傾くAの体を抱き止める。
「っ！？(冷たいっ？)」
「心配しないで・・・私の異能は、強力過ぎて・・・私自身も凍りついてしまう・・・体温が下がってしまうから・・・眠たいだけなの・・・」
「そんな危険な異能で・・・」
「ふふっ・・・未来を読む異能者の対応は、これが一番手っ取り早いからね・・・心配しないで・・・迎えは頼んであるから・・・」
ふっと眠りに落ちるA
「A！！」
数分後、紅葉が毛布を持って駆け込んできた
ジイドはAを抱え、車に乗り込む
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作者名：水琴 | 作成日時：2019年2月15日 1時
